クリストファー・ノーラン、全米監督協会トップとしてハリウッドの危機に挑む
2026年2月3日 17:30
Photo by Pascal Le Segretain/Getty Images米バラエティは、ノーランが昨年9月の会長就任後初となるインタビューに応じた模様を報じた。DGAの会長職には、「スミス都へ行く」のフランク・キャプラ監督や「イブの総て」のジョセフ・L・マンキーウィッツ監督、映画史に名を刻む巨匠たちが歴任してきた。現役の第一線で活躍する監督がこのポストに就くのは異例のことだが、ノーランはいま、業界が抱える複数の難題に正面から向き合っている。
最大の懸案のひとつが、Netflixによるワーナー・ブラザースの買収問題だ。ノーラン自身、「ダークナイト」シリーズや「インターステラー」など9本の作品がワーナーのライブラリに含まれる当事者でもある。「大手スタジオの喪失は大きな打撃だ」とノーランは語り、買収が映画の劇場公開や配信の未来に与える影響に強い懸念を示した。
Netflixのテッド・サランドス共同CEOは、劇場公開から配信までの期間(ウィンドウ)を45日間維持すると表明しているが、DGAは60日間を求めている。対抗するパラマウント・スカイダンスのデイビッド・エリソンCEOも劇場公開を重視する姿勢を見せているが、ノーランは「励みになる発言はあるが、それはコミットメントとは違う」と冷静に釘を刺した。さらに「劇場公開ウィンドウは、ワーナーが劇場配給会社として運営されるか配信に吸収されるかを示す分かりやすい象徴にすぎない。現実には、テレビや配信側の問題のほうが我々の会員にとってはるかに重要だ」と本質を突いた。
雇用の激減も深刻な課題として立ちはだかっている。DGA会員の雇用は35〜40%も減少したとノーランは明かす。「消費者がメディアやエンターテインメントに費やす支出は極めて安定している。にもかかわらず、会員の雇用は35〜40%減っている。この2つをどう整合させるのか。消費者の投資と会員の雇用機会のあいだに、大きすぎる断絶が生まれている」と、数字を挙げて問題の核心を突いた。そのうえで「イノベーションが会員への報酬を減らす口実になることは、まったく受け入れられない」と断言した。
AI(人工知能)の台頭も避けては通れない問題だ。ディズニーがOpenAIと提携し、AI動画生成ツール「Sora」のユーザーにディズニーキャラクターの利用を認めた件について、ノーランは「ライセンスの原則を確立したという点では前向きに捉えている」と一定の評価を示した。ただし「その対価が組合員にどう還元されるのか、現時点では分からない。クリエイターが恩恵を受ける仕組みが示されて初めて、組合はそうした企業を支持する」と条件を明確にした。DGAは1980年代にモノクロ映画の勝手なカラー化に反対した歴史を持ち、監督の創造的ビジョンを守ることは組合の中核的使命だ。「このツールがどう使われるか、声を上げなければならない。AIによって我々の作品が操作される問題は無数にある」とノーランは警鐘を鳴らした。
トランプ大統領が提唱する海外撮影映画への100%関税案についても言及した。「オデュッセイア」を地中海各地でロケ撮影したノーランだが、大統領への直接批判は避け、「トランプ大統領がこうしたアイデアを打ち出して以来、スタジオのあいだでアメリカ国内の制作環境を改善しようという議論が、率直に言ってかなり真剣になった」と指摘した。そのうえで、DGAとしては各州のリベート(税制優遇)と併用できる25%の連邦リベートの導入を求めていると明かした。
DGAの現行契約は6月30日に期限を迎え、今春から映画テレビ製作者連盟(AMPTP)との交渉が始まる。今回は慣例を破り、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)と全米脚本家組合(WGA)の後に交渉に臨む。ノーランの「オデュッセイア」全米公開は契約期限のわずか2週間後にあたり、監督と組合リーダーという二足のわらじがまさに同時に佳境を迎えることになる。
「現役で活動する会員が組合を運営することに価値があると思っている」とノーランは語る。「腰を据えてやり遂げるつもりだ」——その言葉は、映画づくりと同じ覚悟で業界の未来に臨む決意の表れのようだ。
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