スミス都へ行く

ALLTIME BEST

劇場公開日:1941年10月

解説・あらすじ

腐敗した政界にひとり立ち向かう新人議員の姿を描いた、名匠フランク・キャプラ監督による社会派ドラマの傑作。急死した上院議員の後任として田舎から担ぎ出されたスミス氏。政界の事情を知らない彼を議員に祭り上げようという政治家たちの目論見をよそに、彼は積極的に政治活動を始める。ある日議員の汚職を知った彼は、それを議会で追求しようとするのだが……。理想主義に燃える主人公スミスをジェームズ・スチュワートが熱演。

1939年製作/129分/アメリカ
原題または英題:Mr. Smith Goes to Washington
劇場公開日:1941年10月

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写真:Everett Collection/アフロ

映画レビュー

4.0 現実の日本の国政に辟易している方に、清涼剤

2026年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

癒される

1939年公開のアメリカ映画「スミス都へ行く」(原題「Mr. Smith Goes to Washington」)を見ました。
監督はフランク・キャプラ、主演はジェームズ・ステュアートのモノクロ作品。
日本では太平洋戦争直前の1941年10月に封切りとあるので、まだアメリカ映画を公開する余裕があったのだと知り、少し驚いた。

西部モンタナ州で、ボーイスカウトのリーダーだった青年が、突然死亡した州選出の上院議員の代わりに担ぎ出され、ワシントンの国政の世界に放り込まれることになった。それは、何も知らないスミス(ジェームズ・ステュアート)が黒幕のいいなりにできると思われたからだった。
ワシントンでさんざん笑いものにされたスミスだったが、秘書の助けを借り、黒幕がダム建設に伴う土地取引で莫大な利益を得ようとして長年政治を私欲のためにコントロールしてきた事実と対決しようとする。

公開時、ジェームズ・ステュアートは31才。

まだ青年の面影がそのままで、政界を牛耳る黒幕の悪事を暴露する志高い青年政治家を演じて、生涯にわたる好印象の俳優という地位を確保したのではないでしょうか。

映画のクライマックス、自身の議員追放の議決を妨害するため一昼夜にわたって演説をし、最後にはぶっ倒れてしまうシーンは胸が熱くなる名場面です。

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多田納人

4.0 腐敗の一線を超えるときの心理的抵抗って実はそんなに大きくないのかも…。だからこそこういう映画がいつの時代も必要なのだと思う!

2026年6月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

驚く

癒される

政治の世界は魑魅魍魎が跋扈する百鬼夜行の世界だ、などと言われることがよくある。

幕末の政治家(幕臣)、鳥居耀蔵は妖怪とあだ名された。
昭和の政治家でも妖怪と呼ばれた人物がいる。

「妖怪」という言葉をマイナスイメージだけで括ることはできないけれど、どうも政治の世界には金の亡者、色欲の亡者、権力欲の亡者といったバケモノじみた人間が一杯いるみたいな気がする。

本作の主人公スミスは曲がったことが大嫌いで純朴を絵に描いたような田舎の青年。
地元でボーイスカウトの団長をしていて子供たちからすごく慕われているという、ただそれだけが取り柄の純朴な青年が、ある日突然、急死した上院議員の後任として選ばれてしまう。

全然知らなかったのだけど、アメリカでは上院議員が急死したときは、その州の州知事が後任を指名できるんだそうである。

州知事がスミスを指名したのは、表向きはボーイスカウトの団長として子供達から慕われている、その真面目な人柄を買ったということになっているのだけど、実はこの話にはウラがあって、州知事は地元で新聞社を経営する有力者テイラーの言いなりであり、テイラーが計画しているダム誘致にまつわる巨額の不正行為に気づかないような、政治に疎い男をお飾りの上院議員にする必要があったのである。

そんなウラがあるとは露知らず、理想に燃えて意気揚々とワシントンに乗り込むスミスなのだけど、田舎から出てきたおのぼりさんの上院議員としてワシントンの新聞記者たちの格好の餌食となり、さんざん笑い物にされてしまう。

果たして純朴な青年スミスは、州知事や地元の議員を抱き込み地元のマスコミすらも支配している巨悪テイラーにたった一人で立ち向かうことができるのか?

本作が秀逸だと感じるのは、自分のことを引き立ててくれて支援してくれた、そういう言わば恩人とも言えるような人たちが実は腹にイチモツ抱えた金の亡者だったとしたらどうするのか?という問題を描いている点である。

政治家には、お互いに協力関係を結んでいる盟友や、自分のことを支えてくれる地元の後援者が必ずいるものだし、そういった盟友や後援者のバックに様々な利益団体や業界団体がいたとしても何の不思議もない。

スミスを上院議員に指名してくれた州知事や、同郷の上院議員でスミスの父の友人でもあったペインのバックに地元の有力者テイラーがいたように。
ただし、テイラーはある種の怪物であり、州知事もペイン上院議員も彼の言いなりになる金の亡者に成り下がってしまっていたわけだけど。

もしも普段から世話になっている盟友や後援者が金の亡者だったら、彼らに対する感謝の気持ちがいつのまにか利益団体や業界団体に対して不当に便宜を図るといった形で利用されてしまうかもしれない。

スミスにしても、もしペインが何年にも渡って新人議員の彼の面倒を何くれとなく見てくれて、さらにはペインの娘と結ばれていたりしたら、果たしてペインの人生を破壊するような告発ができただろうか。

本作を観ていると、長いものには巻かれろという処世術でテイラーのような巨悪に屈してしまうことの怖さももちろん感じるのだけど、自分はどちらかと言うと義理人情のしがらみの持つ怖さの方をなんだか強く感じてしまった。

もしかしたら政治的腐敗の最初の一歩は金銭欲や権力欲よりも、普段からお世話になっている人たちへの恩返しとしてちょっとした便宜を図るとか、そういう義理人情を重んじる気持ちから踏み出してしまうものなのかも知れない。

そうだとしたら腐敗の一線を超えるときの心理的抵抗って実はそんなに大きくないのかも…。
でもいったん一線を超えてしまったら、後は政界の魑魅魍魎たちに引きずり込まれて腐敗の底なし沼までまっしぐらだという気がする。

だからこそ、こういう映画がいつの時代も必要なのだと思う!

老獪な政治家や企業家たちから見たら、本作は綺麗事であり、御伽話に過ぎないのかも知れない。

でも、「この映画を観て感銘を受けました!」などと神妙な顔をしながら腹の底では御伽話だと嗤うような議員が多くいる国にはあんまり住みたくないと思う。

確かに本作は政治の腐敗をかなり分かりやすく表現していて、実際の政治の世界やロビー活動というのはもっと複雑怪奇でドロドロしたものなのかも知れない。

ただ、そのぶん本作は自分のような政治に疎い人間にも公正な政治を守り抜くことの大切さを強く訴えかける力を持っている。

自分はフランク・キャプラの作品を『素晴らしき哉、人生!』と本作の2本しか観ていないのだけど、一歩間違えると説教臭い道徳物語になってしまいかねない素材をスリリングで感動的な人間ドラマに仕立て上げるその手腕は見事と言うほかない。

本作のように政治の腐敗を描いた作品が1939年に既にアメリカでは作られていたということにもビックリしてしまうのだけど、ただやっぱりどうしても一昔前の古めかしい物語だと感じてしまう部分も多い。

願わくば、本作を現代的にアップデートした作品を才能のある監督に撮ってほしい!

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盟吉津堂

2.0 おとぎ話でも見ているかのような感覚の中、己の純粋さの喪失も感じて…

2026年5月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

再鑑賞で最初に驚いたのがキャストの表示。
作品のタイトル名の通り、
ジェームズ・スチュワートが主役で、
ジーン・アーサーは単なる相手役との
微かな記憶だったが、タイトルバックでは、
なんと“ジーン・アーサー
&ジェームズ・スチュワース”とあったので、
(しかも、エンドロールでは、
ジーン・アーサーが先だった。)
今回の鑑賞では、ダブルキャストの恋愛劇
だったのかも、と身構えて鑑賞を続けた。

中盤、Wキャストの意味の色合いを
少し垣間見せたかかのように、
策略に満ちた世界に浸かってきた女性秘書が
純粋無垢な青年に出会い混乱していく経緯
が描かれてはいたものの、
全体的には、やはり物語上の主役は男性側
としか思えなかった。

さて、話の中心は、
棚からぼた餅的議員となった新米議員の
奮闘記なのだが、
秘書との関係に重点を置いていると言うより
も印象的だったのは、
利益誘導だけに傾倒する地元の新聞社社主、
大統領選に出馬予定のベテラン上院議員、
思惑があって上院議員に担ぎ出された
主人公、の3人の攻防だったのだが、
残念に思えたのが、
僅かにベテラン上院議員の心の振れこそは
描かれたものの、
それぞれの人物像が余りにも
ディフォルメ感満載なおとぎ話的過ぎて、
あからさまな主人公の純粋さに
没入出来なかった一方、
自分自身がその純粋さを失ってしまった結果
だったかもと想像すると、
それはそれとして悩ましくもあった。

因みに、私のフランク・キャプラ作品No.1は
“もちろん”と言って良いか?
「素晴らしい哉、人生!」です。

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KENZO一級建築士事務所

4.0 政治ドラマの原典

2026年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

癒される

【概要】理想に燃える新人議員の挫折&決意の物語をドラマチックに描く
【特記】スチュアートの熱演で魅せる政治腐敗糾弾劇の原典で理想を問う
【哲学】現実は理想の反面教師

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@SAY

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