ガザ、銃撃下の車内に閉じ込められた6歳少女の実録ドラマ「ヒンド・ラジャブの声」9月4日公開
2026年1月28日 08:00

第82回ベネチア国際映画祭にて銀獅子賞<審査員大賞・グランプリ>受賞を含む8冠を達成し、先日発表された第98回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートを果たした映画「The Voice of Hind Rajab」(原題)が、邦題「ヒンド・ラジャブの声」の邦題で、9月4日公開される。
2024年1月29日、パレスチナの人道支援組織・パレスチナ赤新月社のボランティアチームが緊急通報を受ける。それは、ガザ地区で銃撃下の車内に閉じ込められた6歳の少女ヒンド・ラジャブからだった。赤新月社のボランティアチームはラジャブとの電話をつないだまま、救出するためにあらゆる手段を尽くす――。
本作は、パレスチナ赤新月社が記録した緊急通報を基に制作され、作中の電話シーンにおける音声はこの日の本物の通話記録が使用されている。監督がこの出来事を映画にしなければならないと考えたきっかけは、後日、パレスチナ赤新月社が公表したヒンド・ラジャブが助けを求める短い音声クリップを聞いたことだったといい、それを耳にした瞬間のことを「私の心の中で何かが揺らいだ」と振り返る。
©MIME FILMS — TANIT FILMS公開された場面写真は、車の中から必死に助けを求め続けるヒンド・ラジャブの声を聞き逃すまいと電話を取り囲むようにして見守るパレスチナ赤新月社のスタッフたち、そして、ある目的を持って彼女の写真を出力してオフィスのガラスに貼り付けた緊迫の様子を捉えた。この場面で使われた写真は、ヒンド・ラジャブ本人である。
ブラッド・ピット、ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラー、ジョナサン・グレイザー、アルフォンソ・キュアロンなど映画界の錚々たるメンバーが製作に名乗りを上げ、ベネチア国際映画祭でのプレミア上映後には同映画祭における史上最長となる<23分>という記録的スタンディングオベーションが巻き起こった。
ベネチア映画祭はじめ16もの賞を獲得(1/23時点)し、海外メディアからは「この10年間で最も重要な作品」-GQ magazine、「涙なしに観ることは不可能だ」-BBC、「圧倒的で強烈に没入する」-The Hollywood Reporter、「激しく、緊迫感があり、心を揺さぶる」-The Guardian、「これは彼女[ヒンド]の哀歌であり、追悼であり、声であり、顔である」-INDIEWIRE など幅広い表現で称賛されている。
また、アカデミー賞ノミネートを受けて、監督は「このノミネートはヒンドのものです。彼女の声のものです。決して起こるべきではなかったのに、それでも起きた出来事のものです。世界中から集まった美しい作品の中に、"ヒンドの声"が存在することを大変光栄に思います。“象徴"としてではなく。“歴史"として」などと覚悟に満ちたコメントを発表した。9月4日から新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座ほか全国公開。
ヒンドの声は、ガザそのものの声です。世界中に響き渡った「助けて」という叫び。しかし、誰も応えませんでした。
彼女の声は、真の責任が問われ、正義が実現されるその日まで、響き続けるでしょう。
私たちは皆、映画の力を信じています。今夜私たちがここに集っているのも、埋もれてしまいそうな物語を語る勇気を与えてくれるのも、映画なのです。
映画はヒンドを蘇らせることはできませんし、彼女に対して行われた残虐行為をなかったことにもできません。奪われたものを取り戻すことは何もできないのです。
しかし映画は、彼女の声を記録し、国境を越えて響かせることができます。なぜなら、彼女の物語は、彼女一人のものではないからです。それは、ジェノサイドに耐え続ける人々全体の物語であり、罪を問われることのないイスラエルの犯罪的な政権によって引き起こされた悲劇です。
そして今夜、この物語は「記憶」だけではなく、「緊急性」を伴っています。ヒンドの母ウィッサムと弟のイヤドは、いまだガザにいます。
彼らの命はいまだ危険にさらされており、恐怖、飢え、そして爆撃の空の下で毎日を迎える、数えきれない母親、父親、子どもたちと同じです。
私は世界のリーダーたちに、彼らを救ってほしいと強く訴えます。
彼らの生存は、慈善の問題ではありません。それは正義と人道、そして世界が彼らに最低限果たすべき責任の問題です。
私を支えてくれたこと、この物語を支えてくれたことに、心から感謝しています。本当は私も、今日皆さんと一緒に立っていたかったです。
そして、世界がガザにおけるヒンドだけが特別な物語ではないということを忘れないでいてくれることを願っています。
希望を待ち続けている子どもたちが、まだたくさんいます。この映画が戦争を止める助けになりますように。」
私もまた、この耐え難い状況の終わりを求めます。もう、たくさんです。
「パレスチナの自由なくして、私たちの自由は完全ではないことを、私たちはあまりにもよく知っている。」
今日、その言葉はかつてないほどの重みを持っています。
ヒンドの魂が安らかに眠れますように。彼女を殺した者たちの目が、決して安らかに閉じることがありませんように。
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