空族・富田克也監督「サウダーヂ」公開10周年 10月23日からデジタルリマスター版上映
2021年8月25日 08:00
映像制作集団「空族」が日本映画界に殴り込みをかけた出世作にして、2010年代を代表する1本と今なお語り継がれる本作は、富田監督がトラック運転手をしながら、相澤虎之助ら仲間と共に映像制作集団「空族」を勝手に名乗り、1年半の歳月をかけて自主制作で作り上げた。
2011年に公開され、第33回ナント三大陸映画祭でグランプリにあたる金の気球賞、第66回毎日映画コンクールで日本映画優秀賞&監督賞、第26回高崎映画祭で最優秀作品賞、「キネマ旬報」2011年日本映画年間ベストテン6位に輝いた。映画館もデジタル化の流れが推し進められていた時期であったが、あえて 35ミリフィルムでの上映を敢行するという暴挙も話題となった。

主演のひとり、猛を演じたのは、山梨のヒップホップクルーsitllichimiya のラッパー田我流。本作公開後に「B級映画のように 2」(12)が発表されると一躍、日本のヒップホップ界を牽引するラッパーとしてその名を広めた。空族はその後もタイ・ラオスオールロケ「バンコクナイツ」(16)、仏教をテーマに据えた「典座 TENZO」(19)と規格外の作品を発表してきた。そして、来るべき「サウダーヂ」の続編的な作品も現在、山梨で釣りをしながら構想中だという。
なおK's cinemaでの上映期間中は、特別上映として前作「国道20号線」(77分)、及び「サウダーヂ」リサーチの為に制作したドキュメンタリー「FURUSATO2009」(48分)の上映も予定されている。「サウダーヂ」デジタルリマスター版は、10月23日から全国順次公開。
土方・移民・ヒップホップ
2011年に公開した「サウダーヂ」は山梨県甲府市を舞台に、北京オリンピック、リーマンショック後の大不況で行き場を失った日系ブラジル人たち、出稼ぎに来たタイ人、そして国籍の選択をせまられているその子供たちとの出会いから着想を得、疲弊しきった地方都市を描くことになった作品である。
そして、、、あれから一体何が変わったのだろうか?
精司がバブル時代を幻視し猛がラップしながら歩いた、あのアーケード街のシャッターは今も閉まったままでいる。ポルトガル語の「サウダーヂ」という言葉には失われたものへの郷愁とともに未来への祈りが込められているという。
「サウダーヂ」を公開したその年、福島で人災としては最悪の核爆発が起こり、わたしたちはもう二度と後戻りできなくなってしまった。
“災害と疫病と分断”のこの時代に「サウダーヂ」は新たな意味を持ち始めている。―空族
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