アートファン必見! 名画を映画化した体感型作品「ブリューゲルの動く絵」
2011年12月15日 16:30

[映画.com ニュース] 16世紀フランドルの巨匠ピーテル・ブリューゲルの名画「十字架を担うキリスト」を、生きた物語として映画化した「ブリューゲルの動く絵」が12月17日に公開する。絵画の世界をそのまま再現した本作は、仏・ルーブル美術館でのプレミア上映後、各国の映画祭に招かれ話題を呼んでいる。10月に開催された東京国際映画祭で来日したレフ・マイェフスキ監督に話を聞いた。
本作のモチーフとなった「十字架を担うキリスト」は、16世紀フランドルの風景画の中に、十字架を背負わされ処刑の地へ向かうキリストを描いた宗教画。映画では、鞭打ちや磔(はりつけ)の刑など、キリスト復活までの受難週と呼ばれる最後の6日間のエピソードが順を追って描かれる。語り部として、名優ルトガー・ハウアーがブリューゲル、ブリューゲルのコレクターをマイケル・ヨーク、聖母マリアをシャーロット・ランプリングが演じる。またほとんどセリフはないものの、当時の村人の日常生活を表現するために、演技経験のないポーランドの農民たちを起用した。
現代美術家としても世界で広く名を知られているマイェフスキ監督だが、絵画の中の物語を映画化するという独創的なアイデアに「私が決めたわけではありません、ブリューゲルが決めたのです(笑)」。21世紀となった今なお、多くの人を引き付けるブリューゲルの魅力についてこう語る。
「画家としてはもちろん、生きる力、そして彼の持つ哲学、いろんなレベルにおいて素晴らしい人間だと思います。構成、色彩的にある環境の状況を捉える力が素晴らしいのです。彼はヒーローを目の前に提示するのではなく、背景の中に隠してしまうのです。それは真の意味で現実を反映しているものだと思います。現実の生活の中で大きな出来事があっても、常に他の人たちの日常生活のなかであいまいにされてしまうことが多いですから」
(C)2010, Angelus Silesius, TVP S.A名画をそのまま再現したような美しい映像の中、風景や人々の暮らしがいきいきと表現されており、観客自身も絵画の中に入り込んで、平和な農村で起こったキリスト受難の物語の目撃者となったような気分になるだろう。風景画を監督自身が描き、ポーランド、チェコ、オーストラリアロケ、ブルーバックでの俳優撮影、CG技術と3Dエフェクトとの合成、手作りの衣装……さまざまな手法を用い、数え切れないほどの作業工程を経て、完成までにおよそ4年の歳月がかかったという。
多岐にわたる創作活動の中でも、特に映画製作は「忍耐も神経もすり減らしてつくるのです。人生の楽しみも生活も減らす大変な仕事です」と本音を明かすが、「映画の中でアートが足りないと思うのです。映画自体もアートであるべきなのです」と断言。絵画と映画の芸術的コラボレーションによる、これまでにない体感型アートムービーが誕生した。
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