【カンヌ映画祭】初めてタイ映画にパルムドール 「ブンミおじさん」に栄冠
2010年5月24日 11:59

[映画.com ニュース] 第63回カンヌ映画祭が5月23日(現地時間)、タイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の「ブンミおじさん」が最高賞のパルムドールに輝き、幕を閉じた。ゴーストや輪廻転生を扱ったミステリアスな作品で、タイ映画がパルムドールを受賞するのは初めて。批評家のなかで下馬評の高かったマイク・リー監督の「アナザー・イヤー」と、北野武監督の「アウトレイジ」は受賞を逃した。
グランプリに輝いたのは、グザビエ・ボーボワ監督による仏映画「オブ・ゴッド・アンド・メン」。アルジェリアで実際に起きたテロリストによる修道士殺害事件を題材に、宗教と人種の違いやヒューマニティをテーマにした内容で、エキュメニカル賞も受賞した。
監督賞にはストリッパーのどさ回りをユーモラスかつヒューマンに描いた仏俳優マチュー・アマルリックの監督作「オン・ツアー」。監督としては若手だけにサプライズの声があがった。一方、俳優賞にあまり驚きはなく、アッバス・キアロスタミ監督の「コピー・コンフォルム」に主演したジュリエット・ビノシュが大方の予想通り女優賞を戴冠。男優賞は、評価の高かったアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「ビューティフル」に主演したハビエル・バルデムと、伊映画「アワー・ライフ」のエリオ・ジェルマーノが仲良く分け合った。
今年のコンペティション部門は、例年に比べ見劣りしたというのが一般的な意見だが、結果は作家主義的な映画が評価される形になった。ティム・バートン審査委員長は、最後まで大役に慣れない様子で、舞台上でも名前を呼ばれないと賞を発表するタイミングを忘れるなど、ほほ笑ましいひと幕も。授賞式後の記者会見では、「カンヌはふだんあまり見ることのできないユニークでバラエティに富んだ作品が見られる素晴らしい機会。監督としてほかの監督の作品を評価するのは難しかったが、この経験を通して映画に対する新たな視点を得られた。12日間にわたって一緒に行動をともにした、新しいファミリーにも感謝したい」と総括した。(佐藤久理子)
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