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作品名の「スプートニク」は伴侶、あるいは旅の道連れ。描かれているのは地球外生命体と人類の共生の行方。数多(あまた)のエイリアン作品の中で、「2001年宇宙の旅」や「惑星ソラリス」の系譜に連なる本格的なSF作品として挙げることができる一作。ヒロインの内面的な成長(トラウマの克服)を描くというところは「コンタクト」や「メッセージ」を想い起こさせます。
クリーチャーの造形はとても大切。自分は、H・R・ギーガーによる造形や成田亨による造形(怪獣)が好きですが、本作のクリーチャーも個性的で記憶に残り秀逸です。
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【環境耐性か共生か】
・ 比較対象としてリドリー・スコットのエイリアン「ゼノモーフ」に注目してみると、クリーチャーの外見ではなく機能的な特徴に注目するとそれは一言で言えば《環境耐性》にあります。温度や乾燥、圧力への耐性、宇宙空間での生存能力など。
・ 意識や知能といった質的な進化を傍に置いて、物理的な環境耐性、「強さ」という点で地球上の生物を代表する一種が「クマムシ」です。【小問】クマムシはなぜ強いのか? 【小答】 DNAレベルで異種生物と「共生」しているからです。DNAの「水平伝播」、外来DNAの取り込みです。全ゲノムに占める外来DNAの割合で共生のレベルを測ると、クマムシがウィルス、細菌、菌類もろもろとの共生で20%弱、これに対してヒトはミトコンドリアとの共生で1%弱。(←非DNAのレベルでは体内環境としてヒトは大腸菌などと共生している)
《まとめ》環境耐性の源泉はDNAレベルでの共生にあります。
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【遺伝子型に注目する本作ロシア版、表現型に注目する米国版エイリアン】
・ 本作のプロットとしての特徴は、捕獲したエイリアンを施設のもとで研究対象としていること、そこに長尺を割きます。物語の展開とともにヒトと地球外生命体との「共生」の仮説に至ります。
・ 対して米国版エイリアンの特徴は、多くの作品でエイリアンを研究対象とすることはなく、早々に敵性認定して(笑、その物理的破壊、バトルシーンに終始します。外来DNAの取り込みは、「エイリアン」、「遊星からの物体x」、「スピーシーズ 種の起源」などでもきちんと描写されていますが、それらは《捕食》あるいは《寄生》であり、共生を想起しにくいものになっています。
《まとめ》 作品の基本設定で、遺伝子型に注目するとSF作品になりますが、外見や強さといった表現型を重視するとホラー・アクション作品になります。