【「ファミリア」評論】実在する移民団地の現実を描く和製バンリュー映画
2023年1月8日 11:00
(C)2022「ファミリア」製作委員会いながききよたか(「洋菓子店コアンドル」)のオリジナル脚本を「ラブファイト」「八日目の蝉」の成島出が監督。愛知に実在する巨大団地を舞台に、役所広司、吉沢亮、佐藤浩市らに加え、映画初出演の在日ブラジル人キャストが出演したクライム人間ドラマ。
妻を亡くし、独り山中で窯を開いて暮らす陶芸家の神谷誠治(役所広司)。息子で商社マンの学(吉沢亮)は赴任先アルジェリアで出会った難民のナディア(アリまらい果)と結婚し、2人で里帰りをしていた。その夜、半グレの榎本(MIYAVI)らに襲われ負傷したブラジル人青年マルコス(サガエルカス)が、誠治の工房に逃げ込んできた。事情を知らない誠治たちは彼を手当てしたことで、隣町の団地に住むブラジル人コミュニティと接点が生まれるが、予期せぬ事件に巻き込まれてしまう。
冒頭のドローンを使った長回しに目を奪われる。朝の通勤時間に勤め人、登校する子供と母親、帰宅する水商売の女たちと、工事現場や工場に向かう男たち。街頭の細部を流れるように捉えるカメラ。ここが普通の団地とは違うことが一目で分かる見事なショットだ。撮影は大ベテランの藤澤順一。
この映画、もう1人の主役は団地だ。日本映画界は戦後になり、団地が登場する多彩で優れた映画を生み出してきた。久松静児「喜劇 駅前団地」、川島雄三「しとやかな獣」、西村昭五郎「団地妻 昼下りの情事」、森田芳光「家族ゲーム」、中村義洋「みなさん、さようなら」、阪本順治「団地」、庵野秀明「新世紀エヴァンゲリオン」など。
一方、海外作品といえば仏を中心に、マチュー・カソビッツ「憎しみ」、ジャック・オーディアールのパルムドール作「ディーパンの闘い」、Netflixの「アテナ」など、パリ近郊の公団住宅で起こる実際の犯罪や紛争に題材を取った「バンリュー(banlieue-郊外団地)映画」と呼ばれる作品が知られている。
本作では企業城下町、愛知県豊田市に実在する保見団地がモデル。住民の6割がブラジルにルーツを持ち、地元の工場などに勤務している。1999年には若い南米系の団地住民と右翼団体や暴走族が対立、街宣車が燃やされる抗争事件が発生。本作はそんな裏の歴史を踏まえた、日本のバンリュー映画ともいうべき作品になっている。
生々しいアクションを見せる若手俳優や演技未経験の南米系キャストの中で、役所広司の存在は画面に陰影をもたらす大切な役目を担っている。家族が無軌道な暴力に晒されながらも、愛する人を救うために孤軍奮闘する初老の陶工・誠治は、殺伐とした世界で豊かな人間性を輝かせる。団地映画にハズレなし、の例えもあるようだが、本作を見ると改めて頷ける。
(C)2022「ファミリア」製作委員会
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