野望を秘めた“小鹿”が仕掛けるユニークな宣伝&韓国襲来! 目指すは日本での劇場公開
2019年6月28日 15:00

[映画.com ニュース] 「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」のコアファンタ部門でワールドプレミア上映された「ダイナマイト・ソウル・バンビ」を知っているだろうか。映像製作団体「シネマ健康会」代表・松本卓也監督の新作として世に生まれた“小鹿”は、そのつぶらな瞳の奥に野望を秘め、“日本での劇場公開”という夢へとまい進し続けている。
本作は、メイキング映像と本編映像が同時進行する群像劇。インディペンデント映画業界で勢いのある若手監督の山本は、低予算の商業長編映画「ダイナマイト・ソウル・バンビ」製作の機会を得る。山本は仲間とともに、プロチームと合同で撮影に挑戦。その様子をメイキングカメラ担当の谷崎が記録していた。自主映画とプロの“仕事観”の違い、映画製作への情熱の差、そして山本が陥ってしまうトラップ――映画製作の裏側を描いた“内幕モノ”でもあり、松本監督自身が山本を演じることによって「松本監督が生きる“現実”」「映画の世界」「メイキング」「劇中映画の物語」という複数のレイヤーが重なり合う新機軸の作品となっている。
「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019」での初上映時、「皆さんに初めて見てもらったので、応援していただけたらなと……じゃないと、今日これっきりで終わる」とネガティブ発言で笑いを誘いつつも、「面白いとか、ムカついたとか、なんでもいいんです。必死に作った映画ですから」と“劇場公開”へ向けて猛アピールを繰り広げた松本監督。その後の宣伝活動からは、海外からの“逆輸入”という意識が垣間見える。登場人物たちの顔を一面に配したインターナショナル版ビジュアル、同バージョンの予告編を製作し、まずは映画業界で生き抜く個性派キャストの存在を多くの人に認知させ、ストーリーの魅力を存分に伝えようと努めているのだ。
インターナショナル版予告編は、狂気的な劇中映画の描写から始まり、一転して、その撮影現場へと移行する。映画本編とともに、メイキング映像も“作品”にしようと画策するプロデューサーのインタビュー映像が終わると、「最近の日本映画について、どう思う?」という問いを受けた山本が、自らの持論を展開。「メジャー大作を見る客は単純。キャスト、原作で見る客が多い」「インディペンデント映画好きは、こだわってそうで実は一緒。単純」とまくし立てる。「それがわかっていても、本当に面白いものを作れるかは別よ。まぁ、俺はやってやるけどね!」というセリフへとつながっていく。
劇中では“我を通しまくる”山本の姿が哀愁と笑いを誘うのだが、「まぁ、俺はやってやるけどね!」という言葉は、松本監督が貫き通す“映画愛”の象徴とも言えるだろう。現実と虚構が入り乱れる物語――その構成を生かしきるべく、劇中の登場人物がInstagramの個人アカウントを開設するという宣伝手法もユニークだ。スクリーンから飛び出し、リアルの世界でも生き始めたキャラクターたちの情報発信にも注目してもらいたい。
「ダイナマイト・ソウル・バンビ」は、第23回プチョン国際ファンタスティック映画祭(6月27日~7月7日)のワールドファンタスティック・ブルー部門に選出されている。現地では、松本監督をはじめキャスト一同が、オリジナル名刺を配りながら“生まれたての小鹿”をアピール中だ。海外の観客は、この異色作をどうとらえるのか――その反響が“日本での劇場公開”という夢の実現へのキーとなるはずだ。
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