名優・仲代達矢、死刑囚役に覚悟「奥西さんの無実を信じている」
2013年2月16日 22:00

[映画.com ニュース] 俳優の仲代達矢が2月16日、東京・渋谷のユーロスペースで行われた主演作「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」の初日舞台挨拶に、共演する樹木希林、メガホンをとった齊藤潤一監督とともに登壇した。
1961(昭和36)年に三重県名張市で行った「名張毒ぶどう酒事件」の犯人として投獄され、無実を訴え続けている奥西勝死刑囚の半生を、ドキュメンタリー映像を交えながら描いたドラマ。奥西死刑囚を演じた仲代は「今も生きていらっしゃる実在の人物を演じるのは初めて。映画とは本来、虚と実の間にあるものだが、今回は“実”の部分を演じる難しさがあった」と述懐。そして「80歳を迎えた今、俳優としての“終わり”の時期に、この作品と出合えたのは幸運だが、覚悟も必要だった。奥西さんの無実を信じており、仮にこのまま獄中で亡くなるようなことになれば、司法が殺人者になってしまう」と訴えた。
樹木は奥西死刑囚の母親を演じており「(ドキュメンタリー部分に)ご本人が出ているのに、私が再現してしまうなんて、恥ずかしい気持ちでいたたまれない」。それでも「仲代さんや私のような人間が映画に出ることで、国からも司法からもソッポを向かれ生きる人がいると皆さんに知ってもらえるなら」と出演した理由を語り、「何より、大先輩が引き受けたっていうから。安心して共演することができた」と仲代への信頼を示した。
東海テレビのディレクターとして、奥西死刑囚に関するドキュメンタリー番組を3本手がけた齊藤監督は「奥西さんの苦しみや母親の愛情を描くには、ドキュメンタリーでは限界があった」と本作に挑んだ経緯を説明。日本を代表する大御所俳優へのオファーは「恐れ多かった」というが、「仲代さんには(番組の)ナレーターをしていただいていたし、お母さん役は希林しかありえない。私は演出などせず、『お願いします』と脚本を渡しただけで、映画が完成していた」と封切りに感無量の面持ちだった。
(c)東海テレビ放送
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