劇場公開日 1954年7月3日

忘れじの面影(1948)のレビュー・感想・評価

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4.0「忘れじの面影」淀川さん風に

2026年1月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

良かったなあ。19世紀末のウィーンの街並み、雰囲気が良く出たねえ。見事ですねえ。アメリカ生まれのアメリカ育ちの監督じゃあ、この味は出ませんねえ。
監督がマックス・オフュルスなんですねえ。オフュルス言うと、「輪舞」が有りましたねえ。「快楽」が有りました。それから「歴史は女で作られる」が有りました。フランス映画ですねえ。
この人、生まれがドイツなんです。それで戦前は、シュトゥットガルトやウィーンで、舞台の演出をしてました。それからドイツ映画界に行きましたねえ。あのアナトール・リトヴァクの助監督をやって、それでとうとう監督になりました。そういう訳で、ウィーンの街、雰囲気が作り物じゃないんですねえ。一々凝ってるんだねえ。一流なんだねえ。
ジョーン・フォンテーンが良かったなあ。ウィーンの下町の近所に金持ちのピアニスト(ルイ・ジュールダン)が住んでて、フォンテーンは、少女時代からこのピアニストに憧れますねえ。いつもいつもこの男の弾くピアノ曲が窓から聞こえてくるのを、通りから、広場から見上げてるのね。純情な純情な少女時代ね。これを当時、30歳位のフォンテーンが演じてるのね。似合うねえこの人こういう役。本当に純真で綺麗で綺麗でちょっとオドオドしてて。ヒッチコックの「レベッカ」、「断崖」のあの感じ、時々ビクッと驚きますねえ。あの感じが良いねえ。
これとは全然反対で、男の方は相当の遊び人ですねえ。だから自分のことを好きな、そんな女がすぐ近くに住んでるのに全然気が付かないのね。そういう訳で、この女がこの男を一方的に想い続けるのをずう~っと女の視点だけから撮ってますねえ。女の目から、ずっとずっとカメラで追ってるのね。綺麗な綺麗な移動でね。この辺りが見事だね。
これが何年も続きますねえ。母親が再婚して別の街へ引越しても、別の男に求婚されても、全部断って、一人でウィーンに戻って来て、ただ男のそばに居たいから住んでる。
一途だねえ。だけどこれをフォンテーンが演ると、説得力があるのね。嫌味が無いから信じられるのね。他の人じゃ駄目だね。フォンテーンだから良いのね。
それで、とうとうとうとう或る日、この憧れていた男の目に留まりましたねえ。食事して、遊園地行って。男の方が女のことを色々聞きだそうしても、女の方が余り自分のこと言わないのね。控えめで。だけど本当に幸せそうで嬉しそうで。だけど見てると心配なのね。男の方は遊び人だから。騙されるんじゃ無いかと。
そうこうする内に、とうとう或る晩、二人が結ばれますねえ。
だけど男は売れてるピアニストだから、ウィーンにじっとして居られないのね。汽車に乗って、イタリアに演奏旅行に行っちゃう。この辺り悲しいなあ。男は「2週間だけだから!2週間経ったら戻るから!」言って、汽車に飛び乗りますねえ。だけど女の方は、それがもう永遠の別れになることを分かってるんだね。悲しいなあ。残酷だね。この辺りのフォンテーンの表情が見事だねえ。一流ですね。
それからポンと話が飛んで何年か経つのね。そうすると、今度は小学生位になった息子、父親を知らない息子が出てくるのね。しかも、女も別の男と結婚してる。子供が有るから、生活が有るから、良い家系の男と結婚したのが分かりますねえ。この辺りのフォンテーンはもう違うのね。貫禄がある母親の顔してるの。見事な変わり様ですねえ。
ところが、或る日、運命の悪戯ですねえ。あの男、ピアニストに再会しますね!コンサートホールで。遠くの桟敷に座っている男と目が合っちゃうのね。
女の方は動揺して、夫を残して席を立って、先に帰ろうとしますね。そうすると男が劇場の出口に追いかけてくる。男の方も女のことを忘れてない思ってると、そうじゃなくて、男の方は全然忘れてて、誰だか覚えてないのね。女の顔は見覚えがあるんだけどなんて言って。残酷だね。この辺り、男のエゴイズムがよく出ました。
男の方ももう年取ってて、未だ独身で、ピアニストにも嫌気が差して結局大成してないことが分かって来るのね。それでもこの女は、やっぱり、この男の事が好きなんだね。そうして、とうとう勇気を出して男を訪ねますねえ。子供が居ることも伝えようとして。それでも、そこまでしてもこの哀れな哀れな男は、とうとう女のことを思い出せませんでした。
子供を亡くして。自分まで病気になって死の床に伏した女が、最期に男に手紙を送るのね。それがこの映画のタイトルですねえ。

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ナオイリ

3.5せつないけど純粋な恋心

2024年1月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

音楽家に恋した少女の一途な思いには
同情するが、2週間の間に何かあった
のかと思いきや、

ただのチャラ男ということにがっかり。
最後は思い出して決闘に行くんだね。

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ほんのり

4.0【”見知らぬ女からの手紙。そして女が且つて恋した音楽家がある貴族から決闘を申し込まれた訳。”今作は、一人の女性が恋したやや軽佻浮薄なる音楽家に翻弄された哀しき流転の人生を描いた作品である。】

2024年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

難しい

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NOBU

3.0我が青春時代のスクリーンの恋人の映画

2020年12月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

我が青春時代のスクリーンの恋人の一人、
ジョーン・フォンティーン主演映画として
鑑賞。

「レベッカ」や「断崖」等での、
右唇を引き上げたような微笑や怯え顔
がなんとも魅力的な女優だった。

さて、この映画、難しい恋愛感情を描く。
相手を一生忘れじとする側と、
たくさんの異性関係の中で、一夜のことだけ
と相手のことを全く思い出すことも出来ない
側が接点を持った悲劇と言えなくも無い。

後年は豊かな生活を送るヒロインが、
相手の想いが、自分を思い出すことも無い
たった一晩のことだけだったのだと
一度は理解しながらも、
諦めきれずの行為が悲劇をもたらす。

理性では理解しても、感情は別物
となってしまう恋愛の難しさだ。

原作では芸術家は最後まで彼女のことを
思い出さないとあり、最後の手紙で
彼女のことを思い出す映画のラストよりも、
原作の方がリアリティはあるのだろう。

しかし、この映画では何故か思い出し、
彼女の想いを知ったがために、
決闘から逃げる心づもりから一転、
罪滅ぼしからか、彼女の夫から撃たれる覚悟
の決闘に臨むような、センチメンタリズム
満々のシーンで終わらせた。

最後まで思い出さない原作はどのような結末
なのか、少なくとも決闘シーンは無い
のだろう等、興味津々だが、
この原作本に出会うことは
難しいのかもしれない。

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KENZO一級建築士事務所

4.0ウィーン

2020年11月15日
Androidアプリから投稿

ウィーンを舞台にした「恋ひとすじに」を観たら フランス映画みたいだったので、ウィーン情緒を感じさせるという オフュルス監督のを見てみました

昔は古風… と思っていた… が、今回、かえってその評価の高さが しみじみ感じられました

リザの少女から女性への成長も 不自然ではないし、その化粧気のなさ、可憐さがフォンテーンがアメリカ女優であることを 忘れるほどでした

少女がピアニストの才能に惹かれ、彼自身にも一目惚れしてしまう様子も愛らしかった
(ルイ・ジュールダンの どアップも素敵です)

芸術家は自己チューなことが多く 悲劇ですが トキメキも伝わってきました

街の音楽隊、カフェ、レストラン、馬車、花屋、公園、舞踏場、恋に寛容な人々…

真面目な彼女でも ウィーン > リンツ なのが よくわかります
これ無しでも生きてゆけないのかも

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jarinkochie

5.0名作です、切なく心が痛いです

2018年9月21日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

あなたは昔の彼、彼女の面影をどれだけ覚えいるでしょうか?
何年も、何十年も時が過ぎ去り容貌も体型も変わってしまっても、街で見かけてそれと直ぐに気がつけるでしょうか?
青春の熱い思い出はいつまでも鮮明に思い出せても、相手の顔をそれだけ心に刻み付けているのでしょうか?

そんな事をしみじみと感慨にふける深い余韻の残る映画でした
1900年頃のウィーンとリンツの街並みが生き生きと再現されたセットや衣装も見事
たった2週間と手を振って別れた駅のシーンが10年後に繰り返されるシーン
同じ言葉、同じ駅、同じプラットホーム、同じ柵
それに気付いて表情が変わっていくシーンが特に心に残る名シーンです
そして、結局顔を思い出してくれなかった絶望に打ちのめされたシーンは心が震えました

手紙を読み終えた男の心の痛さは、きっと本作を観るあなたにも自分の心の痛みとして感じられる事でしょう

駅の別れの繰り返しは同年1月公開のアンナカレリナと良く似ています
本作は同年4月公開ですが、そこからインスパイアされたのでしょうか?
駅の柵のセットまで似ています

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