我が心に君深く

劇場公開日:1955年8月12日

解説

ミュージカル・プレイや映画などで有名な作曲家故シグマンド・ロムバーグの色彩伝記映画で1954年に製作された。製作はロジャー・イーデンス、監督は「掠奪された七人の花嫁」のスタンリー・ドーネンである。エリオット・アーノルドの原作から「僕は戦争花嫁」のレナード・スピーゲルガスが脚色した。イーストマンカラーの撮影(プリントはテクニカラー)は「第八ジェット戦闘機隊」のジョージ・フォルシー、音楽は「掠奪された7人の花嫁」のアドルフ・ドイッチェである。出演者は、「もず」のホセ・フェラー、「デジレ」のマール・オベロン、先般来日した歌手ヘレン・トローベル、「紅の翼(1954)」のドー・アヴドン、「雨の朝巴里に死す」のウォルター・ピジョン、ポール・ヘンリード、タマラ・トゥマノヴァらで、篇中のミュージカル場面にゲストとしてローズマリー・クルーニー、ジーン及びフレッド・ケリー兄弟、ジェーン・パウエル、ヴィク・ダモン、アン・ミラー、ウィリアム・オルヴィス、シド・チャリシー、ジェームズ・ミッチェル、ハワード・キール、トニー・マーティン、ジョーン・ウェルドンが出演する。

1954年製作/アメリカ
原題または英題:Deep in My Heart
配給:MGM映画会社
劇場公開日:1955年8月12日

あらすじ

ニューヨークのカフェ・ヴィエンナでバンドの指揮をしているシグマンド・ロムバーグ(ホセ・フェラー)は、カフェの主人アンナ・ミューラー(ヘレン・トローベル)と仲のよい友だちだった。ウィーン音楽専門の彼がはじめて書いたジャズ“羊の足”はブロードウェイでヒットし、ロムバーグは大興行主シューバート(ウォルター・ピジョン)と結んで桧舞台にのり出した。そのリハーサルの日、ロムバーグはマダムXのスター、ドロシー・ドネリー(マール・オベロン)と知り合い、2人の間に深い友情が生まれた。かずかずのヒット曲を生んで数年後、ドロシーとロムバーグはジーグフェルドを利用してシューバートに“メイ・タイム”を製作させ大成功を収めた。そして、その成功に刺激され、ロムバーグ自身で“マジック・メロディ”を製作したが大失敗し、はじめてシューバートが自分に必要な人物であることを知った。サラナク湖畔に篭って仕事に専心していた彼は、通りすがりの女性リリアン・ハリス(ドー・アヴドン)に烈しく惹かれ、仕事も手につかなくなるくらいだった。次の新作でもロムバーグ=シューバートはまた成功した。ドロシーはロムバーグに“アルト・ハイデルベルク”をオペレッタにしようと言ったが、リリアンに失恋したと思っている彼は仕事ができないと断った。しかし、再びリリアンと会うことのできた彼は、希望を取り戻した喜びで“学生王子”を書いた。そしてその初日に、2人は将来を誓いあった。結婚後、彼の黄金時代がつづいた。唯一の大きな悲しみは、ひそかに彼を愛しつづけていたドロシーが淋しく死んで行ったことだった。リリアンの主張で、ロムバーグはブロードウェイに帰って演奏会を開くことになった。演奏会にはリリアンやアンナも来た。ロムバーグは、満員の聴衆を前にして妻に捧げると前置きし、“夢みる頃を過ぎても”を自分で演奏した。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5 我が心に君深く

2026年1月23日
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鑑賞方法:その他

作曲家シグムンド・ロンバーグの半生を描いたミュージカル映画である本作でロンバーグ役を演じているのが、個性的な性格俳優(怪優)として有名なホセ・フェラー(「疑惑の渦巻き('49)」、「シラノ・ド・ベルジュラック ('50)」「赤い風車 ('52)」、「ケイン号の叛乱 ('54)」、「アラビアのロレンス ('62)」、「さすらいの航海 ('76)」、「スウォーム ('78)」、「悲愁 ('79)」「砂の惑星 ('84)」)ということもあり、正直かなり違和感が有って不安だったが、観て驚いた。歌ってタップを踏んでこれがかなり上手いのだ。流石は名優!芸域の広さと深さに脱帽した。
監督がスタンリー・ドーネンなので、伝記映画とはいえ重くなり過ぎず、コミカルなミュージカルコメディに仕上がっている。ロンバーグが作曲し上演する数々のブロードウェイ・ミュージカルの舞台におけるナンバーを、MGM専属のスターたち(ジーン&フレッド・ケリー、アン・ミラー、ヴィック・ダモンとジェーン・パウエル、ハワード・キール、シド・チャリースとジェームズ・ミッチェル、トニー・マーティン等)がゲスト出演して歌って踊る構成であり、「Till the Clouds Roll By (雲流るるはてに) ('46米=MGM )」や「Words and Music (歌詞と音楽) ('48米=MGM)」と似た作りで、ドラマの合間にミュージカルナンバーが散りばめられている。その為上映時間が長くなり、少々冗長な印象は拭えないが、個々のミュージカルナンバーは綺麗に撮れていて楽しい。「Dancing Around」の中でジーン・ケリーが実兄のフレッド・ケリー及びドーネン的なカラフルな衣装の女性ダンサーたちと踊るタップダンス(I Love to Go Swimmin' with Women)が楽しい。アン・ミラーの「Artists and Models」のナンバーは、「雨に唄えば ('52米=MGM)」に登場する1920年代の衣装やセットに似たコミカルな出来でこちらも如何にもドーネンらしいナンバーだ。ダモンとパウエルによる「Maytime」中のオペラ調に歌い上げるナンバーは室内セットが美しく、ジェーン・パウエルが可愛らしい。そしてホセ・フェラーも当時実生活で夫婦だったローズマリー・クルーニーと「Midnight Girl」中のナンバーを軽々と歌って踊る!
ところで、この映画の色彩についてみてみると、1954年の作品であり、映画のタイトルにはイーストマンカラー (Print by Technicolor)と記されている。これが僅か数年後の多くのMGM作品ではメトロカラーと表記されるようになり、且つ大半がシネマスコープの横長スクリーンになる。メトロカラー&シネマスコープは、以前の3色式のテクニカラー&スタンダードと比較してしまうと、発色が地味でどうしてもピントが甘い印象になる。その点、本作はイーストマンカラーでもテクニカラーに近い鮮やかな発色で、且つAspect ratioが1.75:1なので、ほぼ現在のヴィスタサイズに近く、画質的にもシャープで悪くない。更に、この映画のサウンドトラックが元々3chステレオ※で製作されていることから、ミュージカルナンバーを"聴く"という意味でも、楽しみが広がっている。
(※: 因みに2025年現在発売されている米国版Blu-rayの音声仕様は、"DTS-HD Master Audio 5.0 Surround"であり申し分ない。)

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