ブリガドーンのレビュー・感想・評価
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ブリガドーン
MGMでアーサー・フリードが製作し、ジーン・ケリー主演、ヴィンセント・ミネリ監督という超一級のスタッフ、キャストによる大作だったにもかかわらず、巨額の製作費に対して興行収入が追いつかず、所謂赤字だったことで、公開当時から失敗作の烙印を押されてしまい、「ザッツ・エンタテインメント ('74)」及び「ザッツ・エンタテイメント PART2 ('76)」でも紹介されなかったというかなり不幸なミュージカル・ファンタジーだ。
TVでもまったく観る機会が無かったことから、1983年当時、渋谷の東邦生命ビル(現渋谷クロスタワー)に有った「すみや渋谷店」で、米国輸入版のVHSを購入してしまった映画だ。
この「ブリガドーン」の輸入版ビデオソフトに手を出す直前に、同様に「すみや渋谷店」で購入したのが、同じくアーサー・フリード製作、ジーン・ケリー主演、ヴィンセント・ミネリ監督で、ジュディ・ガーランドが共演した傑作ミュージカルコメディの「踊る海賊 ('48米=MGM)」だった。こちらはコール・ポーターの名曲に載せてのケリーのダンスやガーランドの歌が素晴らしいのは当然のこと、映画に登場するカリブ海の町並みや海岸沿いの舞台を、すべてMGMのスタジオ内に再現してロケ撮影なしという点では、「ブリガドーン」同様にヴィンセント・ミネリならでは、こだわりと美学に彩られた作品だった。この映画が撮られた1948年は、MGMミュージカルの絶頂期の始まりといった時期であり、トロピカルで派手な衣装、豪華な美術や装置が、贅沢な3原色式テクニカラーでより一層映えていたこともあって、すっかり魅了されてしまった。
当然、「ブリガドーン」にも期待していたのだが、この映画が製作されたのは1954年である。MGMミュージカルが、「巴里のアメリカ人 ('51)」、「雨に唄えば ('52)」、「バンド・ワゴン ('53)」で、既に頂点に達した後の作品であり、且つTVの台頭による映画館の観客動員数の激減に対抗する為に登場したワイドスクリーン(シネマスコープ)と4chのステレオフォニックサウンド仕様だ。コスト削減の為、従来の3原色式のテクニカラーは採用されず、安価なアンスコカラー(所謂イーストマンカラープロセスによるもので、後の呼称はメトロカラーとなる)だったのだが、このテクニカル・スペックの差が大きいのである。ミュージカル映画なので、ステレオ録音については嬉しい限りなのだが、初期のシネマスコープのピントの甘さ、粒子の粗さ、そしてテクニカラーではないことによる色彩感の欠如がどうにも気になってしまった。
現在のワイドサイズの液晶TVやモニターで、オリジナルのスクリーンサイズによるデジタルリマスター化されたDVD、Blu-rayで、5.1chのDOLBY DIGITALで観ればまだしも、当時のスタンダードサイズのTVで、画面の左右を大幅にトリミングされ、テクニカラーとは違いプリントの脱色が激しいイーストマンカラープロセスの映画を、解像度の低いVHSテープで、しかもモノラルで観たのだから、正しい評価など出来る筈がない。
「ブリガドーン」の様なシネマスコープサイズの映画については、劇場公開以降の過去のTV放映や初期のビデオソフトにより、長年、不当な扱いを受け、正しい評価がされ難い損な仕様だったことは間違いない。
「ブリガドーン」が再評価されることになったキッカケは、「ザッツ・エンタテイメント PART3 ('94米=MGM)」にて、シド・チャリースが映画本編で使われたスコットランドの丘が描かれた巨大な背景幕をバックに、この映画におけるジーン・ケリーとの懐かしい想い出を語り、続いて二人による素晴らしいダンスナンバー "The Heather on the Hill"のシーンが紹介されたことだろうか?ほぼ同時期にはデジタルリマスター化された素材をオリジナルのシネマスコープサイズで収録した米国輸入盤LDが発売され、後に日本国内版のDVDになり、現在では米国輸入版のBlu-rayも購入可能である。個人的には、ケリーが背後に尾根が見える斜面になっている美しい丘のセットで、歌い踊るソロナンバーの"Almost Like Being in Love"が好きである。ミュージカルナンバーの曲目数は少ないながらも、「マイ・フェア・レディ」の作詞/アラン・ジェイ・ラーナー、作曲/フレデリック・ロウによるものなので、やはり素晴らしい。
ジェフも欲のない男なのか、それともそんなに鴨撃ち(字幕では雷鳥)...
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