リトル・ミス・サンシャイン

ALLTIME BEST

劇場公開日:2006年12月23日

解説・あらすじ

サンダンス映画祭で絶賛され、第19回東京国際映画祭でも最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、観客賞など最多3部門を受賞したロードムービー。アリゾナからカリフォルニアまでのバス旅行を通じて、崩壊寸前だった家族の再生を描く。監督はこれまでジャネット・ジャクソンやREMなどのPVを手がけ、本作で劇場映画デビューを飾ったジョナサン・デイトンとバレリー・フェリス夫妻。

2006年製作/100分/PG12/アメリカ
原題または英題:Little Miss Sunshine
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:2006年12月23日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第79回 アカデミー賞(2007年)

受賞

助演男優賞 アラン・アーキン
脚本賞 マイケル・アーント

ノミネート

作品賞  
助演女優賞 アビゲイル・ブレスリン

第64回 ゴールデングローブ賞(2007年)

ノミネート

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) トニ・コレット
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Photographs (C) 2006 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

映画レビュー

4.5 このファミリームービーを傑作たらしめたもの

2018年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

誰もが愛してやまない伝説的なファミリームービー。鮮やかに登場人物を紹介する手腕、小笑いを丁寧に積み重ねていく構成力、そしてハリウッドきっての芸達者たちに絶妙な化学変化をもたらす演出力。あらゆる計算が見事なほどハマっていく様には、驚きを超えて感動すら覚える。

そもそも最初の脚本から大変優れた内容だったとか。監督と脚本家はそこから更に長い時間をかけ、妥協することなく内容に磨きをかけていったという。プロジェクト初期にはアビゲイルちゃんやポール・ダノ、それにアラン・アーキンも役柄の割には若すぎて、スタッフは「本当に大丈夫なのか?」と不安を覚えたものの、撮影開始が遅れに遅れたことで見た目の年輪の刻まれ方もまさにベストな状態に。長い旅路を全て“順撮り”にすることも、家族の団結力を最大限に高めていく上で大きな功を奏した。こういったこだわりの組み合わさによって、ひまわりのような美しい花が咲いたのである。

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共感した! 10件)
牛津厚信

4.5 【90.8】リトル・ミス・サンシャイン 映画レビュー

2026年1月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

映画史におけるゼロ年代、すなわち2000年代のインディペンデント映画シーンを語る上で、本作「リトル・ミス・サンシャイン」を避けて通ることは不可能である。本作は、巨大な資本を投じた大作主義へのアンチテーゼとして、ミニマリズムと人間賛歌を融合させたロードムービーの金字塔となった。サンダンス映画祭での熱狂から始まり、最終的にアカデミー賞を席巻するに至ったその軌跡は、まさに劇中のフーバー一家がオンボロの黄色いフォルクスワーゲン・タイプ2で突き進む無謀な旅路と重なる。
作品の完成度という観点から本作を俯瞰すると、極めて緻密に計算された「不調和の調和」がそこにはある。物語の構造は、一見すると典型的な家族再生のドラマだが、その核心にあるのは「勝ち組」と「負け組」という二元論的なアメリカン・ドリームへの軽妙ながらも鋭い問いかけである。自殺未遂、破産、色盲の発覚、そして死。これら悲劇的な事象が、カリフォルニアで開催される児童ミスコンテストという目的地へ向かう過程で、極上の喜劇へと昇華されていく。このユーモアと切実な人間ドラマの配合バランスこそが、本作を単なるジャンル映画から救い出し、映画史に残る傑作へと押し上げた要因である。ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリスの両監督は、役者の視線の動きや沈黙の時間を大切に扱い、家族間の断絶と、それでも共にあることを選ぶ生存本能を見事に描き切った。
キャスティングと役者の演技において、本作はアンサンブル・キャストの最高到達点の一つを示している。
主演のグレッグ・キニアは、一家の父親であるリチャード・フーバーを演じた。自ら考案した「成功のための9段階」を妄信する自己啓発講師という、独善的になりかねないキャラクターに対し、キニアは中産階級の焦燥感と、崩壊していく自尊心を抱える人間の脆さを繊細に注入した。家族を勝利へと導こうと空回りする彼の姿は、現代社会における家父長制の揺らぎを象徴しており、キニアはその悲哀を滑稽かつリアルに体現している。彼が単なる記号的な役柄に留まらず、理想に押し潰されそうな「平凡な男」を血の通った存在として演じきった点は、物語に強固なリアリティを与えている。その硬直した笑顔が徐々に解けていく過程は、本作の感情的な屋台骨となっており、観客に深い共感を呼ぶ名演といえる。
助演のトニ・コレットは、家族の緩衝材となる母親のシェリル・フーバーを演じた。彼女は、個性の強すぎる家族の中で唯一の常識人として振る舞うが、その内側には爆発寸前の疲弊を秘めている。コレットの特筆すべきは、台詞のない場面でのリアクションの豊かさであり、家族の無秩序を許容せざるを得ない母親の包容力と諦念を、その深い眼差しだけで表現してみせた。
助演のスティーヴ・カレルは、シェリルの兄でプルースト研究の第一人者であるフランク・ギンスバーグを演じている。失恋と失業により自殺を図った直後の虚脱状態から、家族の狂騒に巻き込まれることで生気を取り戻していく過程を、カレルは持ち前のコメディ・センスを封印した抑制の効いた演技で構築した。彼の静かな存在感は、物語に知的な深みと哲学的な視点をもたらしている。
助演のポール・ダノは、ニーチェを信奉し沈黙の誓いを立てる息子、ドウェインを演じた。映画の大半を筆談と表情だけで演じなければならないという制約の中で、彼は思春期特有の激しい怒りと疎外感を完璧に視覚化した。中盤、彼が感情を爆発させるシーンは、本作における最もエモーショナルな瞬間の一つであり、若き実力派としての地位を確立させた名演である。
そして、クレジットの最後を飾る名優アラン・アーキンは、麻薬中毒で口の悪い祖父、エドウィン・フーバーを演じた。アーキンはこの役でアカデミー助演男優賞を受賞したが、それは当然の帰結と言える。型破りで奔放でありながら、孫娘オリーヴに対して向ける無償の愛と、人生を達観した視点は、この物語における最大の救いとなっている。彼の存在が、映画全体に「負けてもいいのだ」という力強い肯定感を与えている。
脚本とストーリーの巧妙さは、マイケル・アーントの手腕による。家族一人ひとりに明確な欠落と絶望を用意し、それをロードムービーという物理的な移動の中で浄化していく構成は、作劇の教科書のようである。特に、クライマックスのミスコン会場でのダンスシーンは、映画史に残るカタルシスをもたらす。そこで繰り広げられるのは、既存の価値観への宣戦布告であり、歪な家族が初めて一つになる美しい儀式なのだ。
映像面においては、黄色いフォルクスワーゲンの鮮やかな色彩が、乾いた風景の中で強烈なアイコンとして機能している。車が故障し、全員で押しがけをして飛び乗るという繰り返されるアクションは、家族という不完全なシステムを動かし続けるためのメタファーとして完璧である。音楽においては、マイチャ・ダナとデヴォッチカによるスコアが、哀愁と希望が混ざり合った独特の世界観を構築している。特に主題歌的役割を果たすデヴォッチカの「How It Ends」や、ダンスシーンで使用されるリック・ジェームスの「Super Freak」の使い方は、選曲の妙が光る。
本作は、第79回アカデミー賞において、作品賞を含む4部門にノミネートされ、マイケル・アーントが脚本賞を、アラン・アーキンが助演男優賞を受賞した。これは小規模な独立系映画が、そのクオリティによってハリウッドのメインストリームを席巻した歴史的な瞬間であった。
「リトル・ミス・サンシャイン」は、公開から年月を経てもなお、その輝きを失っていない。それは、本作が描くテーマが、時代を超えた普遍的な「人間の尊厳」に根ざしているからに他ならない。不完全なまま走り続けること。この映画は、効率と成果を求める現代社会において、立ち止まり、互いの肩を抱き合うことの価値を教えてくれる。映画という媒体が、いかにして個人の魂を救済し得るか。その模範回答が、この一台の黄色いワゴン車の中に詰め込まれているのである。
作品[Little Miss Sunshine]
主演
評価対象: グレッグ・キニア
適用評価点: 24
助演
評価対象: トニ・コレット、スティーヴ・カレル、ポール・ダノ、アラン・アーキン
適用評価点: 9
脚本・ストーリー
評価対象: マイケル・アーント
適用評価点: 70
撮影・映像
評価対象: ティム・サーステッド
適用評価点: 7
美術・衣装
評価対象: カリーナ・イワノフ、ナンシー・スタイナー
適用評価点: 7
音楽
評価対象: マイチャ・ダナ、デヴォッチカ
適用評価点: 9
編集(加点減点)
評価対象: パメラ・マーティン
適用評価点: 1
監督(最終評価)
評価対象: ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス
総合スコア:[ 90.8 ]

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honey

3.5 欠陥を抱えたまま走る

2025年11月23日
iPhoneアプリから投稿
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ヒカリ

4.0 家族がおんぼろ車で心を一つにする、それだけのストーリーが心温かいコメディ映画の佳編

2025年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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Gustav