ショコラ

ALLTIME BEST

劇場公開日:2001年4月28日

解説・あらすじ

「ギルバート・グレイプ」などの名匠ラッセ・ハルストレムが、「イングリッシュ・ペイシェント」のジュリエット・ビノシュ主演で描いたファンタジックなドラマ。ジョアン・ハリスの同名小説を原作に、不思議なチョコレートを売る母娘が因習に囚われた村に変化をもたらしていく姿を描く。古くからのしきたりに縛られたフランスの小さな村。北風とともにこの土地にやって来たヴィアンヌとその娘アヌークは、孤独な老女アルマンドから店舗を借りてチョコレート店を開く。村人たちはヴィアンヌが作るチョコレートの不思議な美味しさに魅了され、心を解きほぐされていく。しかし厳格な村長レノ伯爵はそれを快く思わず、村人たちにヴィアンヌの悪口を言いふらしてチョコレート店への出入りを禁じてしまう。「ギルバート・グレイプ」でもハルストレム監督と組んだジョニー・デップが、ヴィアンヌと交流する青年ルー役で共演。ヴィアンヌの娘ルー役は「ポネット」で注目された子役のビクトワール・ディビゾル。

2000年製作/121分/G/アメリカ
原題または英題:Chocolat
配給:アスミック・エース、松竹
劇場公開日:2001年4月28日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第25回 日本アカデミー賞(2002年)

ノミネート

外国作品賞  

第58回 ゴールデングローブ賞(2001年)

ノミネート

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) ジュリエット・ビノシュ
最優秀助演女優賞 ジュディ・デンチ
最優秀作曲賞 レイチェル・ポートマン
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映画評論

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写真:AFLO

映画レビュー

3.0 恍惚のチョコレート

2023年3月9日
スマートフォンから投稿

少しの理解や、少しの歩み寄り。少数でも暖かく見守ってくれる人がいれば、人生やっていけるのかな、と思わせてくれる。めくるめく美味しそうなチョコレート達のショーケース。粒チョコはもちろん美味しそうなんですが、お肉のチョコレートソースがけなんてメニュー初めて見ました。

コメントする 4件)
共感した! 8件)
ホビット

4.5 【90.1】ショコラ 映画レビュー

2026年1月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ラッセ・ハルストレム監督による本作は、官能と禁欲、寛容と排他という普遍的な対立構造を、チョコレートという魅惑的なモチーフを通じて寓話的に描き出した秀作である。映画史において「食」をテーマにした作品は数多く存在するが、『バベットの晩餐会』が宗教的な厳格さと芸術的な食の融合による魂の救済を描いたのに対し、本作はより現世的な喜びと人間性の回復を謳い上げている点で対照的かつ相補的な関係にあると言えるだろう。
物語の舞台は1959年のフランスの架空の村ランスクネ。カトリックの伝統と厳格な規律が支配するこの村に、北風と共に現れた異邦人がもたらす「変化」の物語である。本作の完成度を支えているのは、単なる勧善懲悪のドラマに落とし込まなかった点にある。一見すると、因習に囚われた村人たちと自由を愛する主人公という二項対立に見えるが、ハルストレムは双方の孤独と恐れを丁寧に掬い上げている。特に「悪役」的立ち位置にある村長レノ伯爵でさえも、自身の信念と規律を守ろうとするあまりに苦悩する一人の人間として描かれており、ラストシーンにおける彼の人間的な崩壊と再生は、観る者に深いカタルシスを与える。
また、本作は「マジックリアリズム」の要素を巧みに取り入れつつも、魔法そのものを描くのではなく、チョコレートが人々の閉ざされた心を開き、関係性を修復していく過程を心理的な魔法として演出している点が白眉である。重厚なテーマを扱いながらも、全体を包み込むトーンは温かく、ユーモアに満ちており、大人のための極上のおとぎ話として映画史にその名を刻むにふさわしい完成度を誇っている。
監督・演出・編集
ラッセ・ハルストレム監督の演出手腕は、このアンサンブルドラマを見事に統率している。彼は『ギルバート・グレイプ』や『サイダーハウス・ルール』でも見せたように、家族の崩壊と再生、そしてコミュニティにおける個人の在り方を描くことに長けている。本作においても、多数の登場人物それぞれのサブプロットを巧みに交錯させながら、散漫になることなく一つの大きなうねりとして収束させている。
特に演出面で特筆すべきは、チョコレートを扱うシーンの官能性である。視覚と聴覚を刺激する調理シーンや、登場人物がチョコレートを口にする瞬間の恍惚とした表情は、台詞以上の雄弁さで「生きる喜び」を語っている。編集のリズムも軽やかでありながら、重要な感情的局面ではじっくりと時間を割く緩急のバランスが絶妙であり、観客を物語の世界へとスムーズに誘引する。
キャスティング・役者の演技
ヴィアンヌ・ロシェ(ジュリエット・ビノシュ)
主演のジュリエット・ビノシュは、この作品の魂そのものである。彼女が演じるヴィアンヌは、風と共に移動し、定住することを恐れる流浪の民としてのミステリアスな背景を持ちながら、誰に対しても分け隔てなく接する母性と包容力を体現している。ビノシュの演技の素晴らしさは、単に明るく前向きな女性を演じるだけでなく、その笑顔の裏に潜む孤独や、娘に対する責任感と自身の放浪癖との葛藤を微細な表情の変化で表現している点にある。彼女がチョコレートを勧める際の視線は、相手の心の奥底を見透かすような洞察力に満ちており、観客さえも彼女の魔法にかかったような錯覚を覚える。強さと脆さを同居させた彼女の演技は、アカデミー賞主演女優賞ノミネートに相応しい名演である。
アルマンド・ヴォワザン(ジュディ・デンチ)
ジュディ・デンチが演じる偏屈な大家アルマンドは、作品に重厚なリアリティを与えている。彼女は厳格な娘との確執や、糖尿病という病を抱えながらも、自分の人生を自分の意志で全うしようとする誇り高き女性である。デンチの演技は、当初の刺々しい態度から、ヴィアンヌとの交流を通じて徐々に心を開き、孫との時間を楽しむ柔和な表情へと変化していくグラデーションが見事である。特に死を予感しながらも人生を謳歌しようとする晩餐会のシーンでの彼女の佇まいは、圧倒的な存在感を放っており、アカデミー賞助演女優賞ノミネートに加え、全米映画俳優組合賞助演女優賞を受賞したことも納得の圧巻の演技である。
レノ伯爵(アルフレッド・モリーナ)
村を支配する厳格な村長レノ伯爵を演じたアルフレッド・モリーナは、この寓話における「秩序」の象徴である。彼は単なる悪役として描かれるのではなく、村の道徳を守るという使命感と、自身の欲望を抑圧する苦しみとの間で引き裂かれている。モリーナは、その巨体を小さく縮こまらせるような演技で、権力者の内にある小心さと孤独を見事に表現した。物語終盤、断食の果てにショーウィンドウのチョコレートを貪り食うシーンでの狂気と哀愁が入り混じった演技は、観る者の同情を誘うほどに人間臭く、作品の深みを決定づけている。
ジョセフィーヌ・ムスカ(レナ・オリン)
夫の暴力に怯える神経質な女性から、ヴィアンヌとの出会いによって自立した輝かしい女性へと変貌を遂げるジョセフィーヌを演じたレナ・オリンの演技力も特筆に値する。登場初期の猫背で視線を合わせられない挙動不審な様子から、自信を取り戻し背筋を伸ばして歩くようになるまでの身体的表現の変化は劇的である。彼女の変貌は、ヴィアンヌがもたらした影響の最も顕著な証左であり、オリンはそのプロセスを説得力を持って演じきっている。
ルー(ジョニー・デップ)
物語の中盤から登場するジプシーの青年ルーを演じたジョニー・デップは、短い出演時間ながら鮮烈な印象を残す。彼はヴィアンヌと同じく「よそ者」としての視点を持ち、彼女の良き理解者となる。デップ特有の飄々とした色気と反骨精神は、閉鎖的な村に新たな風を吹き込む役割を完璧に果たしている。ヴィアンヌの心の鎧を解く重要な鍵となる彼の存在は、作品にロマンティックな彩りを添えている。
脚本・ストーリー
ジョアン・ハリスの同名小説をロバート・ネルソン・ジェイコブスが脚色した脚本は、キリスト教の「断食期間(レント)」を物語の時間軸に据えたことが極めて効果的に機能している。禁欲が美徳とされる期間に、最も誘惑的なチョコレート店を開くという背徳的な設定が、村人たちの抑圧された欲望や秘密を浮き彫りにする触媒となっている。
ストーリーテリングにおいては、ヴィアンヌとレノ伯爵の対立を軸にしつつ、DVや老人介護、偏見といった社会的な問題をサブプロットとして織り交ぜ、それらが「チョコレート」という一つの解によって解きほぐされていく構成が秀逸である。説教臭くなることなく、人間の弱さを肯定し、互いの違いを受け入れることの大切さを説く脚本は、アカデミー賞脚色賞にノミネートされた事実が示す通り、極めて高い完成度を誇る。
映像・美術衣装
撮影監督ロジャー・プラットによる映像は、フランスの片田舎の冬の寒々しい風景と、チョコレートショップ店内の温かみのある色彩の対比が見事である。村全体がグレーや茶色を基調とした彩度の低いトーンで統一されているのに対し、ヴィアンヌの衣装や彼女が作る菓子は鮮やかな赤や深い琥珀色で彩られ、視覚的に「生気」を象徴している。特にヴィアンヌと娘が着る赤いフード付きのコートは、おとぎ話の「赤ずきん」を想起させると同時に、保守的な村における異端性を際立たせている。美術セットにおいても、店内の装飾や小道具の一つ一つが緻密に作り込まれており、画面から香りが漂ってくるかのようなリアリティを生み出している。
音楽
レイチェル・ポートマンによるスコアは、作品の世界観を決定づける重要な要素である。アコースティックギターやアコーディオン、木管楽器を多用した楽曲は、ヨーロッパ的な哀愁と軽快さを併せ持ち、ヴィアンヌの自由な精神を聴覚的に表現している。
また、劇中で使用されるジャンゴ・ラインハルトの『マイナー・スイング(Minor Swing)』などのジプシー・スイング・ジャズは、ルーたち川の民の自由なライフスタイルを象徴しており、厳格な村の静寂とは対照的な「生のリズム」として機能している。ポートマンの音楽はアカデミー賞作曲賞にもノミネートされ、映像と物語に寄り添う叙情的な旋律は観客の心に深く残る。
賞歴について
本作は第73回アカデミー賞において、作品賞を含む主要5部門(作品賞、主演女優賞、助演女優賞、脚色賞、作曲賞)にノミネートされた。受賞こそ逃したものの、その年の映画界を代表する質の高い作品として広く認知された事実は、本作の芸術的かつエンターテインメントとしての価値を裏付けている。また、ジュディ・デンチは全米映画俳優組合賞(SAG)において助演女優賞を受賞している。

作品[Chocolat]
主演
評価対象: ジュリエット・ビノシュ
適用評価点: A9(9 × 3 = 27)
助演
評価対象: ジュディ・デンチ、アルフレッド・モリーナ、レナ・オリン、ジョニー・デップ
適用評価点: A9(9 × 1 = 9)
脚本・ストーリー
評価対象: ロバート・ネルソン・ジェイコブス
適用評価点: A9(9 × 7 = 63)
撮影・映像
評価対象: ロジャー・プラット
適用評価点: B8(8 × 1 = 8)
美術・衣装
評価対象: デヴィッド・グロップマン
適用評価点: A9(9 × 1 = 9)
音楽
評価対象: レイチェル・ポートマン
適用評価点: A9(9 × 1 = 9)
編集
評価対象: アンドリュー・モンドシェイン
適用評価点: +1
監督(最終評価)
評価対象: ラッセ・ハルストレム
総合スコア:[90.1]

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honey

4.0 北風と太陽

2025年1月19日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

イソップの寓話みたいだけど、大人も十分楽しめるメルヘン。
禁欲と自由、禁欲派は享楽的と批判するけど。禁欲は一歩間違えれば統制や管理に進み、人類の不幸な歴史にもたびたび登場する。そんな批判も感じさせる。
題材も良いね。おやつやお茶菓子で登場する定番のチョコレート。甘さと口に入れた瞬間の至福感は誰でも共有できる。当たり前のちょっとした贅沢はやっぱり止められないだろう。
キャストが実によくて、主要人物にうまくはまった作品だと思う。ややもするとちゃちな出来栄えになりそうな題材なのに、名優たちが作品の質も格も上げているな。

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Bluetom2020

未評価 堅苦しい看板を下ろした大人のファンタジー

2024年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 一人一人の好みのチョコが分かる不思議な力を持つ母娘のチョコレート店が村の古い因習を明るく打ち壊して行くお話。

 現在ならば "Diversity" とか "Inclusive" と言った看板を掲げたくなるのでしょうが(勿論それはそれで意味がある事)、そうした縛りから自由な大人のファンタジーとして、ウフフの可笑しみと暖かさに満ちた映画でした。辛いニュースが続く新年に明かりを灯すに相応しい物語だな。これも映画館のスクリーンで観るべき作品。 (2024/1/6 鑑賞)

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La Strada

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