ノー・マンズ・ランド

ALLTIME BEST

劇場公開日:2002年5月25日

解説・あらすじ

1990年代のボスニア紛争を舞台に、ボスニアとセルビアの中間地帯に取り残された敵対する兵士たちの運命を、痛烈なメッセージとユーモアを交えて描いた戦争ドラマ。

ボスニアとセルビアの中間地帯ノー・マンズ・ランドの塹壕に取り残された、ボスニア軍の兵士チキとセルビア軍の兵士ニノ、そして横たわった身体の下に地雷を仕掛けられて身動きが取れなくなったボスニア軍の兵士ツェラ。塹壕から出れば、両軍から攻撃されてしまう。一触即発の状況のなか、自分たちがなぜ争っているのかわからないままにらみ合いを続ける彼らに、ふと心を通わせる瞬間が訪れるが……。

出演は「奇跡の海」のカトリン・カートリッジ、「眺めのいい部屋」のサイモン・キャロウ。ボスニア紛争の最前線を取材してきたダニス・タノビッチが長編劇映画初監督・脚本を手がけた。2002年・第74回アカデミー賞で外国語映画賞、2001年・第54回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。

2001年製作/98分/フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロベニア合作
原題または英題:No Man's Land
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2002年5月25日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第74回 アカデミー賞(2002年)

受賞

外国語映画賞  

第59回 ゴールデングローブ賞(2002年)

受賞

最優秀外国語映画賞  

第54回 カンヌ国際映画祭(2001年)

受賞

コンペティション部門
脚本賞 ダニス・タノビッチ

出品

コンペティション部門
出品作品 ダニス・タノビッチ
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映画レビュー

4.0 殺戮に中立なんて存在しない

2026年1月26日
Androidアプリから投稿

殺戮に直面したら、傍観も加勢と同じ
=国連軍や諸外国の軍事不介入と、消費するメディアを批判する

誰のものでもない中間地帯での地雷騒動を描いた本作は、ジャン・ルノワールの『大いなる幻影』のように、敵味方が塹壕の中で国や立場を越えて人間同士として分かり合う物語かと思いきや、本作が突きつけるのはそんな甘い融和ではなく、「中立」や「不介入」そのものの暴力性だった。
ボスニア✕セルビア=敵対する2人が友情を築くなどといった類いの心あたたまる物語でなく、思ったより群像劇であり、国連軍(UN)に記者といった周囲の対応についての現実を投影した作品だった。そんな作中で最も主人公っぽい葛藤を抱えるのは、国連軍のマルシャン軍曹だろう。人道的に正しくあろうとする者の葛藤、思ってもそうできない組織のしがらみゆえの障壁。善意があっても、個人が構造に殺される。そして、観客に問いかけられる、何も変わらないまま置き去りにされるあのラストシーン…。
国連軍の「UN(United Nations)」が徐々に(否定・取り消し・逆行の接頭辞の)"un-"に見えてきたほどだった。un-justice(不正義)、un-do(なかったことにする)、un-seen(見なかったことにする)、un-involved(関与しないこと)…。平和を標榜する組織が、実際には“取り消す側”に回っている瞬間を見てしまったような。殺戮を止めるのではなく、「見なかったことにする」「介入しなかったことにする」「責任を解除する」その un- の連なりを。
舞台劇的でもある設定の中で、群がるハゲタカや世間の温度感も客観的に。そのブラックユーモアの中で、国連軍の不介入を揶揄するどころか、強烈に批判しているようであった。セクシー秘書を携えた記号的クソ大佐、最後にはむしろ戦闘を焚き付けるようなセリフすらあり、多少映画的な描かれ方かもしれないけど、確かにこれって自分の利益や保身のためには結構現実に起こり得ていることだよなと思った。歴史が証明しているし、残念ながら現在でも…。25年も前の作品にも拘らず、今日でも通ずるテーマ過ぎた。
ウクライナやパレスチナにおける殺戮を日々メディアで見るなかで、ぼくらは何ができるのだろうか?

銃を捨てろ!誰が戦争を仕掛けた?日が暮れたら這って帰る

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とぽとぽ

4.0 【”ボスニア紛争の最前線”無人地帯”で行われた事。”今作はボスニア紛争での国連軍の無力さ、厚顔なマスコミの在り方、同一地域に住みながら敵になった二民族の悲惨さを描いた不謹慎戦争コメディである。】

2026年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

難しい

■濃霧の中、道に迷ったボスニア軍兵士のチキ、ツェラ等は、砲撃で仲間を失いながらも、ボスニアとセルビアの中間地帯(ノー・マンズ・ランド)の塹壕に怪我をしながらも何とかたどり着くが、ツェラは意識を失っている。
 そこでセルビア軍兵士の新兵ニノとベテラン兵士と鉢合わせし、チキはベテラン兵士を射殺する。だがベテラン兵士が死体だと思ってジャンプ地雷を仕掛けたツェラが生きていて、塹壕の中は面倒くさい事になって行くのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・非常に不謹慎な映画であるが、シニカルな脚本が非常に優れている作品である。

1.セルビアのベテラン兵士が、新兵ニノに対し、エラソーに死体だと思ったツェラの身体の下にジャンプ地雷を仕掛けるが、彼がアッサリ、隠れていたボスニア軍兵士のチキに射殺されるシーン。そして、彼が仕掛けたジャンプ地雷が、後々面倒な存在になって行くのである。

2.国連防護軍(UN)がいち早く駆け付けるも、上官の指示により結局なにも出来ない姿。最前線のUN兵士に対し、”国連防護軍(UN)が、仕事をした。”ことだけわかれば良い、という上官の態度。
  更には、彼らがボスニア兵士、セルビア兵士の言葉が分からない所。何しに来たんだか・・。で、少し英語が分かる新兵ニノが敵兵チキに翻訳して伝えるシーン。
  国連防護軍に対するシニカルさが凄い。

3.ノコノコと危険な最前線にやって来る女性ジャーナリスト、リビングストンたちの描き方。
  ”視聴率稼ぎを狙って人道支援している国連防護軍を映して、ジャーナリズムを気取っているだけでしょ!”

4.究極は、ジャンプ地雷を仕掛けられたツェラの状態を見て、UNの地雷撤去のプロが”撤去は不可能です・・。”と告げた事で、UNの大佐が”全て、解決した事にして。”トイレに行きたいツェラを塹壕に残して、全員引き揚げて行くラストシーン。
ー 無茶苦茶シニカルなシーンである。-

<今作は、ボスニア紛争での国連軍の無力さ、厚顔なマスコミの在り方、同一地域に住みながら敵になった二民族の悲惨さを描いた不謹慎戦争コメディなのである。>

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NOBU

5.0 人間こんなもんだろう

2023年3月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

人間てこんなものだなと思う。
それをよく忘れてしまう。

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Tetz

3.5 戦争の現場で戦っている兵隊さんの話で、 それぞれに、 正義は自分た...

2022年6月25日
PCから投稿

戦争の現場で戦っている兵隊さんの話で、
それぞれに、
正義は自分たちにあると思っている。
戦争が人の正常な判断んを奪う。
地雷を人間の下に設置するなんてひどすぎるが、
それすらも正義だと思っているのだろうか。
戦争のおろかさを描きつつ、
国連やメディアに対する皮肉もたっぷりな
シュールな映画だ。
たぶん戦争に対するブラックなコメディでもあると思う。

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あとぅーし