RHEINGOLD ラインゴールド

劇場公開日:2024年3月29日

RHEINGOLD ラインゴールド

解説・あらすじ

「女は二度決断する」「ソウル・キッチン」などで知られるドイツのファティ・アキン監督が、実在するラッパーで音楽プロデューサーのカターの破天荒な半生を描き、本国ドイツで大ヒットを記録した伝記映画。

クルド系音楽家のもとに生まれたジワ・ハジャビは、亡命先のパリで音楽教育を受けた後にドイツのボンに移り住むが、両親の離婚により貧しい生活を余儀なくされる。ある日、街の不良たちに叩きのめされた彼は復讐のためにボクシングを覚え、「カター(危険なヤツ)」となってドラッグの売人や用心棒をするように。さらに金塊強盗にまで手を染めて指名手配された彼は、逃亡先のシリアで拘束されてドイツに送還され、刑務所内でレコーディングした曲でデビューを果たす。

「悪魔は私の大親友」のエミリオ・サクラヤが主演を務め、カター本人がセリフ監修を担当。

2022年製作/140分/PG12/ドイツ・オランダ・モロッコ・メキシコ合作
原題または英題:Rheingold
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2024年3月29日

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映画レビュー

4.0 無法者とヒップホップの危うい親和性

2024年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

本作については当サイトの新作評論枠に寄稿したので、ここでは補足的なトピックを書き残しておきたい。

この伝記映画で描かれるカター(本名ジワ・ハジャビ)は、日本では知名度が低かったものの、本国ドイツでは知らない人がいないスーパースターだそうで、ラッパーとしての活動にとどまらず、他のアーティストのプロデュースのほか、ファッションブランドや飲食店などを経営する実業家としても成功しているようだ。そうしたカターの絶大な知名度もあってか、ドイツ国内で興行成績1000万ドル超え、ファティ・アキン監督の長編映画として最大のヒットを記録。次いで2番目の自国ヒット作「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」(2019)が約45万ドルなので、文字通り桁違いの成功を収めたことになる。

本作は2015年に出版されたカターの自伝に基づくが、劇的効果を狙って脚色した部分も当然ある。たとえば映画では、金塊強盗の罪で収監された刑務所でひそかに録音機材を入手し、そこでレコーディングしたアルバムでデビューした流れで描かれる。だが実際には、カターの最初のアルバムは2008年にリリースされ、金塊輸送トラックを襲った事件は2009年。囚人番号を題名にした「415」はセカンドアルバムだった。

EU加盟国の中でも移民の受け入れに積極的なドイツでさえ、少数民族が直面する差別や格差が根強く、だからこそカターたちクルド系のラッパーたちが結束して起こしたヒップホップムーブメントが、同国におけるメインストリームへの対抗文化として支持された側面もあるのだろう。それはヒップホップの本場アメリカで1980年代後半から90年代に黒人たちによるギャングスタ・ラップが興隆した社会背景に通じるものがありそうだ。

ギャングスタ・ラップと犯罪に関連する映画としては、トゥパックとノートリアス・B.I.G.が殺害された未解決事件を題材にした「L.A.コールドケース」(2018年米公開)が思い出されるが、同作の製作後に新展開があった。元ギャングリーダーのドゥエイン・デイビスが2018年にトゥパック殺害事件への関与を告白、2023年9月に殺人容疑で逮捕、起訴されたのだ。裁判は今年6月に予定されており、まだ刑は確定していない。

カターと仲間たちが起こした強盗事件では、奪われた金塊の相当部分が行方不明になったままだという。評論でも触れたように、映画では金塊が隠されていると解釈することもできるファンタジックなラストシーンが描かれる。こちらの事件もいつの日か、あっと驚く新展開があれば面白いのだが。

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高森郁哉

4.0 軽快、大胆、破天荒に走り抜く

2024年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ドイツの名匠ファティ・アキンの映画といえば、『そして私たちは愛に帰る』のように静謐な映像の中で切ない心情を謳うこともあれば、『愛より強く』のように凄まじく振り切れたパンキッシュさで魂を燃え上がらせるものもある。ならば新作『ラインゴールド』はどうかというと、これまた主人公の人生を軽快、大胆、破天荒に走り抜いたノンストップな痛快劇だ。原作はラッパーの自伝だというから、本国ドイツの観客はこの大河の流れ着く先をある程度知った上で臨んでいるのだろうが、何も知らない自分としては、国や善悪の境界線をいくつも越えていく運命のうねりにことごとく翻弄された。ラッパー映画といえば50セント、エミネム、N.W.Aを描いた米作品が思い出されるけれど、そこはアキン。中東から西欧を股にかけた国際色豊かな語り口を持ちつつ、ここぞというところでドイツならではの落とし所をしっかり用意しているあたり、なんとも心憎い限りである。

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牛津厚信

3.5 面白い

2026年1月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ドイツ映画にハマっていた時期に出会った大好きなファティ・アキン監督の最新作。前知識なしで観ました。面白かったです!

クルド系ラッパーXatarの自伝的映画だそうでめちゃくちゃ波乱の人生なんだけど、観ている側はとにかくテンポが良くて面白い。

音楽家の父は母と離婚して出て行ってしまい、金銭的に苦しい家族のためにドラッグを売るようになるジワ。不良たちに袋叩きにされた復讐のためにボクシングを習って、ひとりひとり探しあててやっつけていくところは痺れたな〜!かっこよかった!そんなこんなで、ところ構わず暴行事件を起こすジワはカター(危険なヤツ)と呼ばれるようにようになります。

麻薬を売って得た金でアムステルダム音楽院へ入学したジワ。ラップに魅せられて音楽で稼ぎたい気持ちはこのころに芽生えていたのかな?とりあえず合法的な仕事を求めて、クラブの用心棒になります。友人ミランからマフィアのボスを紹介してもらって、液体コカインを売る仕事を頼まれるんだけどまさかの大失敗。ここのシーン絶望的なのに面白くてニヤニヤしちゃった…最高!マフィアのボスに殺されないよう損害を埋めるために金の護送車を襲うんだけど、結局は捕まって刑務所に収監されちゃうんだよね。

今までの波乱すぎる人生の中でいちばん平穏な時間が訪れたのは刑務所の中だったのかも。ここでジワはレコーディングをして自分の音楽を外の世界に発表します。ある日看守にサインを頼まれて初めて自分のCDを手にしたときの彼を見たら落涙してしまったよ。やっと自分のやりたい事ができたんだよな〜って。綺麗な人生ではないし犯罪まみれで人を傷つけたこともあっただろうし。でも、なんだかこのシーンはめちゃくちゃ沁みた。何だったらここで終わって欲しかった。

やっぱりファティ・アキン監督の映画好きだな〜って思ったので、まだまだ沢山映画を撮ってほしいな〜。

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ゆみな

未評価 musician の映画ならば

2024年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ドラッグ・ディーラーや金塊強盗などの犯罪を繰り返しながらもラッパーとして名を成し、ドイツでは知らぬ人が居ないらしいカタ-の実話に基づく物語です。そんな人が居る事を僕は今回初めて知りました。

 ラッパーとしての彼を知る人は「彼はこんな人生を送って来たのか」と興味を持てるのでしょうが、音楽が出て来るのは物語の始めと終わりだけで、中盤はほとんどが単なる犯罪映画でした。そんな暮らしの間も彼の中で蠢めいていた音楽衝動を描いていてこそ物語が成立するのではないかなぁ。

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La Strada