映画レビュー
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ホモソーシャルな関係の中の繊細さを、カナダの今とともに描いた意欲作
ホンダケイさん | 2021年7月29日 | PCから投稿
賛否両論で注目を集めた「たかが世界の終わり」「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」を撮り終えたドランが、友人たちと作ったリラックス感に溢れる青春ドラマ。「キスをしたら関係は変わるのか」をテーマに、それを男性同士に設定して描いた意欲作。地元のいつものメンバーによるパーティの騒々しさと、一方では各キャラクターが直面している外見、人種、階級などの差別や、複雑な家族や仕事などのリアルが描かれる。移民の国、フェミニズムの国で知られるカナダのケベック州が舞台だが、しばしば若い世代に向けられる「英語を使うな」という主張は、カナダ伝統のフランス語を使う人々=フランコフォンの矜持とこだわりが感じられて興味深い。LGBTをことさら意識させずに、男性同士の関係性の変化をスリリングかつ温かく描くドランの腕前に舌を巻きつつ、「ダークナイト」のベインの物まねをさりげなく挟むマニア向けの遊びにも感心させられた。