ジョゼと虎と魚たち(2020・アニメ版)
芥川賞作家・田辺聖子による青春恋愛小説の金字塔を劇場アニメ化
恋愛のときめき、人生のきらめきがスクリーンと物語からあふれ出る。妻夫木聡と池脇千鶴主演で実写映画化もされた感動作。
映画レビュー
PRO
アニメーション映画ならではの表現の豊かさを感じられる名作。物語の完成度も高い。
細野真宏さん | 2020年12月24日 | PCから投稿
本作は2003年に実写化もされていますが、別の作品と考えてよいと思います。
まず、アニメーション版の本作では、主人公の恒夫とジョゼの声を務めた中川大志と清原果耶が非常に上手くて良いです。
アニメーション映画だけあって、コミカルなシーンもあったり、映像の美しさなども良く表現されていて、改めてアニメーション映画の表現の豊かさを実感できました。
ただ、いくら映像が良くても物語がしっかりしていないとダメなのは言うまでもないですが、物語も映像に負けないくらいしっかりしていて非常に良かったです。
内容については、テンポよく進んで事前の知識は一切不要なので、あえて触れないようにします。
個人的に好きなシーンは、大学で海洋生物学を専攻する恒夫がジョゼの祖母チヅに「どこに行くんですか?」と尋ねた時に、チヅが言葉を使わず手で表現するのですが、それだけで分かってしまう辺りの表現などがとても気に入っています。
主題歌も含め、音楽もとても良かったです。
強いてマイナス要素を挙げると、最初の「偶然」については許容範囲でしたが、後半の「偶然」については少し無理を感じました。マイナス要素はそのくらいで、あとは非常に良いと思います。
本作を見た後は、人に優しくなれそうな気持になる、とても素敵な作品です。