春の画 SHUNGA

   121分 | 2023年 | R18+

スクリーン1

江戸時代に隆盛を極め、明治時代に禁じられた「春画」の美の世界に迫るドキュメンタリー。

葛飾北斎、喜多川歌麿ら名だたる浮世絵師たちが情熱を注いだことで知られる春画。絵師・彫師・摺師の才能と高度な技術によって数多くの名作が生み出されたが、明治時代になると「猥褻画」として警察の取り締まり対象となり、日本文化から姿を消した。そして近年になってようやく、出版物や展覧会を通してアートとしての再評価の機運が高まっている。

ディレクターとして数々のドキュメンタリー番組を手がけてきた平田潤子監督が、北海道から九州、海外にまで足を運んで美術コレクターや浮世絵研究家、美術史家、彫師、画家に取材。バラエティ豊かな傑作の数々を美しい映像で映し出し、エロティシズムだけにとどまらない多彩な表現内容や技巧、創造性に富んだ春画の魅力に迫る。さらに春画をアニメ化し、江戸時代の人々が親しんだその世界をいきいきと描く。アニメパートでは俳優の森山未來と吉田羊が声の出演。

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監督: 平田潤子
製作: 中西一雄 小林敏之
企画: 小室直子
出演: 横尾忠則会田誠木村了子石上阿希早川聞多浦上満アンドリュー・ガーストルミカエル・フォーニッツ橋本麻里朝吹真理子春画ールヴィヴィアン佐藤樋口一貴高橋由貴子山川良一
日本 / 日本語
(C)2023『春の画 SHUNGA』製作委員会

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映画レビュー

杉本穂高

PRO

笑い絵としての春画の魅力

杉本穂高さん | 2023年11月30日 | PCから投稿

タイトル通り春画を題材にしたドキュメンタリー映画である。春画はながいこと公的に封じられてきた歴史を考えると、こうして商業映画として春画が描かれることは、結構快挙だ。自分たちの国の文化の魅力を自分たちで発信していくことは大事なことである。

春画と表現の自由を考えるドキュメンタリーとしては『春画と日本人』があったが、こちらは春画の魅力そのものに迫る内容だ。
春画の彫りの細かい技巧の巧みさや内容のユニークさ、それを当時どのように楽しんでいたのかが専門家や市井のコレクター、アーティストの口から語られる。春画そのものもたくさん画面に登場する。男女が平等に性を楽しめる表現として春画はあったのであり、展覧会にも女性客が多く詰めかけているという。春画をアニメーション化して森山未來と吉田羊が声を当てているシーンがいくつかあるんだけど、これが本当に面白くて笑える。春画は江戸時代「笑い絵」と呼ばれていたそうだが、まさに笑える部分も含めて魅力をたっぷり見せてくれる。