ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇
ゴルチエの自伝的ミュージカルの舞台裏に迫ったドキュメンタリー
ヤン・レノレが監督、マドンナ、カトリーヌ・ドヌーブらセレブたちも虜にした世界的ショーが出来あがるまでを映し出す。
映画レビュー
PRO
絢爛豪華で特別なステージショーが生まれる過程を垣間見る
牛津厚信さん | 2023年9月30日 | PCから投稿
ゴルチエと言えば、私の脳裏にはベッソン監督作「フィフス・エレメント」の衣装が真っ先に蘇る。奇想天外。創造性の爆発。ゴルチエの衣装を身に纏えばどんな端役でも特別な何者かであるかのように輝きだす・・・。そんな彼が自身の人生をモチーフにした絢爛豪華なショーを企画、構成、演出し、2018年に初演を迎えるまでの創造的道のりを記録したのがこのドキュメンタリーだ。映画でも、演劇でも、ファッションショーでもない。この作品と彼の人生はいずれも型にはまらず、異端で、フリークで、特別。制作現場でのゴルチエは、率先して明るく、スタッフのアイディアを「素晴らしい!」と褒め称える姿が印象的だ。かと言って納得いかない部分は妥協せずとことん考え抜く。チーム内で部下を信頼し、その能力を最大限引き出しつつ、湧き出るイマジネーションをいかに唯一無二の作品として纏めあげるか。そんな天才のものづくりの一端を垣間見たような気がした。