映画レビュー
PRO
オゾンの柔らかく穏やかな語り口が胸に染み渡る
牛津厚信さん | 2023年2月28日 | PCから投稿
『空を飛ぶ夢』や『母の身終い』をはじめ、尊厳死という題材を扱った作品はこれまで幾つか観てきたが、オゾンが奏でる本作はその語り口が滑らかで柔らかく、どんな瞬間もユーモアを忘れない。時折、若かりし頃の父と娘のエピソードが出てくるが、いつだって父は自分のやりたいように事を推し進め、言いたいことを容赦なく子供にもぶつけてきた。こういう挿入部があるからこそ、彼が最後の瞬間にも自分勝手をとことん貫きたいと考えるのは何となく納得がいく。人間は生まれるタイミングはあらかじめ予想がつくが、自分の死ぬ瞬間に関しては掌からこぼれ落ちる砂のように制御できないもの。でも自分の意思で身じまいできると知った瞬間から、この高齢の父親の表情は途端に生き生きと輝き出しているように思える。この映画は、尊厳死について肯定するわけでも否定するわけでもない。あくまで「父娘の物語」という枠組みでこの語り口を完結させているのが特徴的だ。
PRO
Hybrid of Critical Favorites
Dan Knightonさん | 2023年1月4日 | iPhoneアプリから投稿
Francois Ozon is one of those directors that can take an ordinary plot about slice-of-life drama and pack it full of unique perspective that reveals the many dimensions of our world albeit being shown on a 2D screen. In Everything Went Fine we get a Father-like tale of a man's receding lifeline as her daughter has to cope with his request to put him out of misery. Exquisitely French cinema.