パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女
「パラサイト 半地下の家族」のパク・ソダム主演のカーアクション
悪徳警官やサイコパスな殺し屋、国家情報院も巻き込み、命がけのカーチェイスを繰り広げる。
映画レビュー
PRO
とにかくパク・ソダムが良い!
杉本穂高さん | 2023年1月31日 | PCから投稿
パク・ソダムがカッコいい。クールでツンツンした凄腕ドライバーが、殺された依頼主の小さい息子を、嫌々ながらも助けたら絆が深まり、命がけで守り抜いてしまうというお話なのだが、パク・ソダムという役者をここまで魅力的に引き出していることに、高い手腕を感じる。涼しい顔でハンドルを握りしめて驚異的なドライビングテクニックを披露するシーンがめちゃくちゃにカッコいいかと思えば、飼っている猫にデレデレしている姿が可愛い。あと、ドライバーなのに肉弾戦もかなり強い。あの格闘センスをどこで磨いたのだろう。
パク・ソダムの上司の運送会社のおじさんが良い味をだしている。韓国映画は、普段は世俗的で打算的だけど、いざという時に義侠心を発揮するおじさんを描かせるとやたら上手い。
共演の少年が『パラサイト』でパク・ソダムが家庭教師をしていたあの少年なのもちょっと面白いところで、なんかすごく良いコンビなのだ。パク・ソダムは小さい男の子と組み合わせると輝く女優なのかもしれない。
PRO
パク・ソダムの表情にサッと灯る感情が魅せる
牛津厚信さん | 2023年1月28日 | PCから投稿
『グロリア』や『レオン』や『ドライヴ』などといった往年の作品の影響を漂わせつつも、コミカルさとシリアスさの程よい緩急バランスの中でグッと本気度を見せつける快作。胸中のなかなか読めないパク・ソダムの表情に、瞬間的にギアを入れたみたいな鮮烈な火が灯るのも印象的だ。ソダムと子役の少年という、過去に共演済みの2人が醸し出す関係性もなかなかのもの。そうやって無表情かつ仏頂面にすら思えた主人公から、感情を引き出し、過去の経歴を引き出しつつ、一つの人物像のパズルが少しずつ埋められていく。脇を固める俳優陣もいいが、主人公を追いかける”第3の視点”とも呼ぶべき国家情報院の担当職員役にヨム・ヘランを起用したところがなんとも巧い。仮に仕事のボスが父親代わりだとすれば、一方のヘランとは母娘ほどの年齢差。こういった年代配置も味わいを付与し、思い切りのいいアクションと共に、見応えある疾走&ドリフト感を結実させている。