ジェントル・クリーチャー
【世界の奇妙な映画コレクション】ウクライナ映画アカデミー賞監督賞受賞
鬼才セルゲイ・ロズニツァ監督が全体主義国家の腐敗や不条理に翻弄される女性を、異様な緊張感で描いた寓話。
映画レビュー
PRO
説明を廃した異様な緊張感がほぼ全編にわたってみなぎる
和田隆さん | 2023年5月11日 | PCから投稿
多くを語らない主人公の女性の疑問と怒りに満ちた表情と、説明を廃した異様な緊張感がほぼ全編にわたってみなぎり、見ている者は無意識に奥歯を食いしばっていることに気づくでしょう。全体主義国家の腐敗や不条理に翻弄されるとはいったいどういうことなのか。市民=個人の自由や人権よりも、国家や民族の意志や利害が優先される政治思想に対し、ウクライナ出身のロズニツァ監督の沸点ギリギリの熱い思いが伝わってきます。