シチリアを征服したクマ王国の物語

   82分 | 2019年

第72回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門公式上映作品

伊の作家ディーノ・ブッツァーティの名作児童文学を仏伊合作でアニメ映画化したクマたちのおはなし。※日本語吹替版のみの配信

配信は終了しました。

イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティが1945年に発表した名作児童文学「シチリアを征服したクマ王国の物語」を映像化したフランス・イタリア合作によるアニメーション映画。遥か昔。クマたちは頂が氷で閉ざされた高い山で静かに暮らしていた。ところがある日、クマの王レオンスの息子トニオがハンターに捕えられてしまう。レオンス王は我が子を救うためクマたちを引き連れて山を降り、人間が住む平地を目指す。彼らの行く手には残忍な大公や化け猫、人喰い鬼、幽霊、魔法使いなど、数々の難敵が待ち受けていた。監督は、「ザ・ニューヨーカー」などの雑誌イラストやカンヌ国際映画祭のポスターイラストで知られるイラストレーターのロレンツォ・マトッティ。「レッドタートル ある島の物語」のプリマ・リネア・プロダクションズがアニメーション制作を担当。※本作品は日本語吹替版のみの配信となります。

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監督: ロレンツォ・マトッティ
製作: バレリー・シェアマン クリストフ・ヤンコビッチ
原作: ディーノ・ブッツァーティ
出演: 柄本佑伊藤沙莉リリー・フランキー加藤虎ノ介寺島惇太堀内賢雄
英題:La fameuse invasion des ours en Sicile
フランス,イタリア / フランス語
(C)2019 Prima Linea Productions - Pathé Films - France 3 Cinéma - Indigo Film

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映画レビュー

杉本穂高

PRO

世界の歴史はこうなっている

杉本穂高さん | 2022年1月31日 | PCから投稿

世界とはこうなっているという、大変に的確な寓話。人間とクマが争っているシチリア。人間の国王は、独裁で人々を従えており、息子を助けたいだけのクマを暴力的に対応する。そんな人間たちにクマたちは知略を用いて戦を挑み、息子を奪還、さらに人々を圧政から解放する。シチリアは、クマが支配する国となる。
しかし、クマもまた権力を得ると、腐敗し、欲望にまみれていく。どんな正義の勢力も権力に吞まれるとおかしくなってしまう、善良だったクマでさえも。
世界の歴史は往々にしてそういうものだった。映画は、それに加えて若い世代の希望を描いている。クマと少女の絆を通して、それでも分かり合う努力は大切だと伝える。
この作品は、児童文学を原作した子供向けアニメーションと言っていいが、子ども騙しではない。世界がこうなっているんだということを、分かりやすく深く伝えている。本当の考え抜かれた子供向け作品は、大人の心すら撃ち抜けるという最良の見本だ。