クラッシュ 4K無修正版
【オソレゾーンセレクト】第49回カンヌ国際映画祭審査委員特別賞受賞の問題作
クローネンバーグ監督が自動車事故に性的興奮を覚える究極のフェティシズムを描いた傑作の4K無修正版(HD画質で配信)。
映画レビュー
PRO
退廃的でありながら、なぜか悲しく美しい。
和田隆さん | 2021年12月28日 | PCから投稿
製作から25年を迎えた今年、“4K無修正版”でリバイバル公開された、デビッド・クローネンバーグ監督の「クラッシュ」は、鑑賞する前までの自分の中のモラルとは何だったのかを改めて問い、破壊してくれる異形の傑作だ。
日本で劇場公開された97年当時、20代前半でこの映画を最初に鑑賞した時の衝撃の記憶は色あせることなく、20数年ぶりに見返してみるとむしろその強度は増し、古さをまったく感じさせない。“4K無修正版”という完全体でよみがえったことによって、映画としての新たな美しさを放ったと言っていい。
カークラッシュ、飛行機の格納庫や車中での過激で倒錯的な性行為、死と隣合わせの危険な快感への目覚め、人体損壊と車体の破損への欲求と美意識という究極のフェティシズムなど、あなたはどのシーン、どの欲望に興奮するだろうか。全編8割以上のセックスシーンを楽しむのか、それとも車体や人体の痛々しい傷跡に恍惚とするのか、はたまたそういった後戻りできない世界にどこまでも堕ちていく主人公たちの姿に共感し、自分の中に眠っていた危険な欲望への扉を開くのかは、あなた次第だ。