クラッシュ 4K無修正版

   100分 | 1996年 | R18+

【オソレゾーンセレクト】第49回カンヌ国際映画祭審査委員特別賞受賞の問題作

クローネンバーグ監督が自動車事故に性的興奮を覚える究極のフェティシズムを描いた傑作の4K無修正版(HD画質で配信)。

配信は終了しました。

「ザ・フライ」「裸のランチ」などで知られるカナダの鬼才デビッド・クローネンバーグ監督がイギリスのSF作家J・G・バラードの小説を映画化し、第49回カンヌ国際映画祭で審査委員特別賞を受賞した作品。自動車事故をきっかけに倒錯的セックスにのめりこむようになった男女の姿を描き、過激な性描写などで賛否両論を巻き起こした。倦怠期にあったジェームズと妻キャサリンはハイウェイで衝突事故を起こす。やがてジェームズはその事故で夫を亡くしたヘレンと再会。事故の瞬間にエクスタシーを感じ、それを忘れられなかったジェームズはヘレンとセックスをし、さらに自動車事故で性的快感を得た者たちによる集会に参加することに。その指導者的存在の男ボーンはジェームズとキャサリンをさらなる官能の世界に導いていくが……。主人公ジェームズ役に「セックスと嘘とビデオテープ」のジェームズ・スペイダー、ヘレン役に「ピアノ・レッスン」のホリー・ハンター。96年製作、日本では97年に劇場公開。製作25年を迎える2021年、「4K無修正版」でリバイバル公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。

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映画レビュー

和田隆

PRO

退廃的でありながら、なぜか悲しく美しい。

和田隆さん | 2021年12月28日 | PCから投稿

製作から25年を迎えた今年、“4K無修正版”でリバイバル公開された、デビッド・クローネンバーグ監督の「クラッシュ」は、鑑賞する前までの自分の中のモラルとは何だったのかを改めて問い、破壊してくれる異形の傑作だ。

日本で劇場公開された97年当時、20代前半でこの映画を最初に鑑賞した時の衝撃の記憶は色あせることなく、20数年ぶりに見返してみるとむしろその強度は増し、古さをまったく感じさせない。“4K無修正版”という完全体でよみがえったことによって、映画としての新たな美しさを放ったと言っていい。

カークラッシュ、飛行機の格納庫や車中での過激で倒錯的な性行為、死と隣合わせの危険な快感への目覚め、人体損壊と車体の破損への欲求と美意識という究極のフェティシズムなど、あなたはどのシーン、どの欲望に興奮するだろうか。全編8割以上のセックスシーンを楽しむのか、それとも車体や人体の痛々しい傷跡に恍惚とするのか、はたまたそういった後戻りできない世界にどこまでも堕ちていく主人公たちの姿に共感し、自分の中に眠っていた危険な欲望への扉を開くのかは、あなた次第だ。