ジュゼップ 戦場の画家

   74分 | 2020年 | G

第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション作品

仏セザール賞長編アニメ賞受賞など世界が絶賛した、画家ジュゼップ・バルトリの人生を描く感動の実話。

配信は終了しました。

1910年にバルセロナで生まれ、95年にニューヨークで没した実在の画家ジュゼップ・バルトリの人生を描いた長編アニメーション。1939年2月、大勢のスペイン共和党員がフランコの独裁から逃れてフランスにやってくる。フランス政府は政治難民となった彼らを収容所に押し込め、冷遇する。そんな中、収容所を監視するフランスの憲兵と、難民の中のひとりの絵描きの間に、有刺鉄線を超えて友情が芽生える。風刺画家オーレルの初監督作品。2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション作品。日本では「東京アニメアワードフェスティバル2021」コンペティション部門で長編グランプリを受賞(映画祭での上映タイトルは「ジョセップ」)。

全文を読む

監督: オーレル
製作: セルジュ・ラルー
脚本: ジャン=ルイ・ミレシ
出演: セルジ・ロペス
英題:Josep
フランス,スペイン,ベルギー / フランス語、スペイン語、英語
(C)Les Films d'Ici Méditerranée - France 3 Cinéma - Imagic Telecom - Les Films du Poisson Rouge - Lunanime - Promenons nous-dans les bois - Tchack - Les Fées Spéciales - In Efecto - Le Mémorial du Camp de Rivesaltes - Les Films d'Ici - Upside Films 2020

全て見る

映画レビュー

杉本穂高

PRO

記憶の混濁が良い味を出している

杉本穂高さん | 2021年10月30日 | PCから投稿

本作の主な舞台となるのは、1939年のフランス国内でスペインからの難民を強制的に収容する施設だ。20世紀初頭の強制収容所といえば、ナチスの政策で作られたアウシュビッツなどのユダヤ人収容施設が有名だが、フランスとスペイン間にもそのような場所があったとは、あまり映画で描かれることは少ないかもしれない。
物語は、画家のジュゼップと看守のフランス人セルジュの友情を軸に、理不尽な現実を絵にし続けたジュゼップの魂を美しいアニメーションで描いていく。セルジュが孫に語り聞かせるという形式で語られるため、記憶の混同があり、それがアニメーションによって表現されるのが上手い。例えば、フリーダ・カーロが突然海辺に現れたり、トロツキーがメキシコにいたりする。この不確かさが本作の魅力となっている。むしろ、その記憶の混濁ぶりは、不自由で理不尽な現実から逃れて自由になる意思が働いているのではという気にさせる作品だ。ジュゼップ・バルトリという画家は、日本ではほとんど紹介されていないようだ。僕もこの映画で初めて知った。