83歳のやさしいスパイ

83歳のやさしいスパイ

3.5    89分 | 2020年

【3日間限定先行独占プレミアム配信】第93回アカデミー賞ノミネートの感動ドキュメンタリー

やさしいスパイが見つけたものは人々の心の叫びだった。史上最も心温まるスパイ映画に涙が溢れて止まらない。

83歳のやさしいスパイ

83歳のやさしいスパイ

3.5 89分 | 2020年

【3日間限定先行独占プレミアム配信】第93回アカデミー賞ノミネートの感動ドキュメンタリー

やさしいスパイが見つけたものは人々の心の叫びだった。史上最も心温まるスパイ映画に涙が溢れて止まらない。

配信は終了しました。

老人ホームの内定のため入居者として潜入した83歳の男性セルヒオの調査活動を通して、ホームの入居者たちのさまざまな人生模様が浮かび上がる様子を描いたドキュメンタリー。妻を亡くして新たな生きがいを探していた83歳の男性セルヒオは、80~90歳の男性が条件という探偵事務所の求人に応募する。その業務内容はある老人ホームの内定調査で、依頼人はホームに入居している母が虐待されているのではないかという疑念を抱いていた。セルヒオはスパイとして老人ホームに入居し、ホームでの生活の様子を毎日ひそかに報告することなるが、誰からも好まれる心優しい彼は、調査を行うかたわら、いつしか悩み多き入居者たちの良き相談相手となっていく。舞台となった老人ホームの許可を得て、スパイとは明かさずに3カ月間撮影された。第17回ラテンビート映画祭や第33回東京国際映画祭では「老人スパイ」のタイトルで上映。第93回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞にノミネート。

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監督: マイテ・アルベルディ
製作総指揮: サリー・ジョー・ファイファー クリス・ホワイト ジュリー・ゴールドマン クリストファー・クレメンツ
脚本: マイテ・アルベルディ
出演: セルヒオ・チャミーロムロ・エイトケン
英題:El agente topo
チリ,アメリカ,ドイツ,オランダ,スペイン / スペイン語
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映画レビュー

牛津厚信

PRO

ドキュメンタリーだからこそ表現できたもの

牛津厚信さん | 2021年7月26日 | PCから投稿

高齢者施設に潜入して内部捜査せよ。そんな任務を負った素人スパイのご老人が、ひみつ道具や慣れないスマートフォン機能を駆使しながらその様子を探偵事務所へ報告する。この設定だけですでにドラマや映画へ応用できそうな気がするが、しかし本作の面白さ、というか”素朴さ”は、ドキュメンタリーだからこそ獲得できたものと言えそうだ。入居者たちも、83歳のスパイも、決して”演じている”わけではない。それぞれが素の人間としてここで出会い、言葉を交わし、交流を深めていく。そうやって人々の心に触れる自然な能力が、主人公にはもともと備わっているのだろう。作品として「スパイ」というキャッチーな部分が強調されているものの、その芯にあるのはここで暮らす高齢者たちの心の内側を覗き見ること。はたまた、任務を通じて生じる主人公の”心の移ろい”を感じること。全てはその瞬間をカメラに刻むための壮大な仕掛けですらあったかのように思える。

和田隆

PRO

老人たちの孤独な現実を浮かび上がらせ、ある種の“喜劇”へ昇華させた感動作

和田隆さん | 2021年6月29日 | PCから投稿

冒頭はドキュメンタリーっぽくなく、まるでドラマのような感じで、アル・パチーノの写真が映ったりする。だが不意に83歳の主人公・セルヒオを捉えていたカメラの後ろにドキュメンタリーを撮っている監督やスタッフがいることが映し出される。ドキュメンタリーでありながら、フィクションとの境界線を敢えて曖昧にすることで、リアルな人間の冗談のような本当の話こそが、まるでフィクションのようなドラマとなり得ることを描こうとしているようだ。

この作品を魅力的にしているのは、なんといってもセルヒオの人柄である。雇われスパイであることを隠し、老人ホームに同じ入居者として潜入してみると、誰よりもやさしくて涙もろく男前な彼は、スパイなのにホームのおばあさんたちの人気者となってしまう。そして、いつしか入居者たちの良き相談相手となった新人スパイが見つけ出したのは、老人たちの孤独、彼らの心の叫びだった。

だが、この作品が深い感動を呼ぶのは、老人たちの孤独な現実を重く受け止めるだけでなく、同じ老人でありながら、生きがいを求めて新人スパイとして奮闘するセルヒオを通し、ある種の“喜劇”へ昇華しているからではないだろうか。

映画レビュー

牛津厚信

牛津厚信さん PRO
2021年7月26日 | PCから投稿

ドキュメンタリーだからこそ表現できたもの

高齢者施設に潜入して内部捜査せよ。そんな任務を負った素人スパイのご老人が、ひみつ道具や慣れないスマートフォン機能を駆使しながらその様子を探偵事務所へ報告する。この設定だけですでにドラマや映画へ応用できそうな気がするが、しかし本作の面白さ、というか”素朴さ”は、ドキュメンタリーだからこそ獲得できたものと言えそうだ。入居者たちも、83歳のスパイも、決して”演じている”わけではない。それぞれが素の人間としてここで出会い、言葉を交わし、交流を深めていく。そうやって人々の心に触れる自然な能力が、主人公にはもともと備わっているのだろう。作品として「スパイ」というキャッチーな部分が強調されているものの、その芯にあるのはここで暮らす高齢者たちの心の内側を覗き見ること。はたまた、任務を通じて生じる主人公の”心の移ろい”を感じること。全てはその瞬間をカメラに刻むための壮大な仕掛けですらあったかのように思える。

和田隆

和田隆さん PRO
2021年6月29日 | PCから投稿

老人たちの孤独な現実を浮かび上がらせ、ある種の“喜劇”へ昇華させた感動作

冒頭はドキュメンタリーっぽくなく、まるでドラマのような感じで、アル・パチーノの写真が映ったりする。だが不意に83歳の主人公・セルヒオを捉えていたカメラの後ろにドキュメンタリーを撮っている監督やスタッフがいることが映し出される。ドキュメンタリーでありながら、フィクションとの境界線を敢えて曖昧にすることで、リアルな人間の冗談のような本当の話こそが、まるでフィクションのようなドラマとなり得ることを描こうとしているようだ。

この作品を魅力的にしているのは、なんといってもセルヒオの人柄である。雇われスパイであることを隠し、老人ホームに同じ入居者として潜入してみると、誰よりもやさしくて涙もろく男前な彼は、スパイなのにホームのおばあさんたちの人気者となってしまう。そして、いつしか入居者たちの良き相談相手となった新人スパイが見つけ出したのは、老人たちの孤独、彼らの心の叫びだった。

だが、この作品が深い感動を呼ぶのは、老人たちの孤独な現実を重く受け止めるだけでなく、同じ老人でありながら、生きがいを求めて新人スパイとして奮闘するセルヒオを通し、ある種の“喜劇”へ昇華しているからではないだろうか。