映画レビュー
PRO
2つの問い
杉本穂高さん | 2017年10月29日 | PCから投稿
素晴らしい脚本。ジョナサン・ペレラは独学で脚本を学び、これがデビュー作というから驚く。
政治の影の舞台で影響力を持つロビイストの実態も興味深いが、非常に深遠な2つの問いが主人公の行動を通じて観客に投げかけられる。
1つは、目的の正しさをいかに掴むか。主人公は銃規制反対派からの打診を断り、銃規制推進派の小さなロビー会社に合流する。キャリアを取るか、信念を取るか。主人公は自らの信念を取る。あるいはこの選択もキャリアアップのためかもしれない。しかし、彼女は銃が社会にとって害悪であると確信している。
2つめは、正しい目的のためなら何をしても許されるのかという問い。資金力のある大会社と政治家を相手にするため、主人公は非合法的な手段も、同僚を犠牲にすることも厭わない。やがて彼女自身に嫌疑が向くが、最後の逆転劇でも主人公は最後まで「らしい」やり方をつらぬく。しかし、最後の一手で彼女が犠牲にしたものは今までとは違う何かだった。
冒頭からラストまで目が離せない一級品の映画だ。