ペイン・アンド・グローリー

ペイン・アンド・グローリー

3.6    113分 | 2019年 | R15+

第72回カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞、第92回アカデミー賞2部門ノミネート

スペインの名匠ペドロ・アルモドバルがアントニオ・バンデラスを主演に迎え、自伝的要素を織り交ぜつつ描いた人生賛歌。

ペイン・アンド・グローリー

ペイン・アンド・グローリー

3.6 113分 | 2019年 | R15+

第72回カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞、第92回アカデミー賞2部門ノミネート

スペインの名匠ペドロ・アルモドバルがアントニオ・バンデラスを主演に迎え、自伝的要素を織り交ぜつつ描いた人生賛歌。

スペインの名匠ペドロ・アルモドバルが長年にわたってタッグを組んできたアントニオ・バンデラスを主演に迎え、自伝的要素を織り交ぜつつ描いた人間ドラマ。世界的な映画監督サルバドールは、脊椎の痛みから生きがいを見いだせなくなり、心身ともに疲れ果てていた。引退同然の生活を送る彼は、幼少時代と母親、その頃に移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局など、自身の過去を回想するように。そんな彼のもとに、32年前に手がけた作品の上映依頼が届く。思わぬ再会が、心を閉ざしていたサルバドールを過去へと翻らせていく。バンデラスが主人公の映画監督を繊細に演じ、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞。第92回アカデミー賞でも主演男優賞、国際長編映画賞にノミネートされた。アルモドバル作品のミューズ、ペネロペ・クルスが家族を明るく支える母親を演じる。

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映画レビュー

Dan Knighton

PRO

Psycho-Spiritual Drama

Dan Knightonさん | 2020年6月29日 | PCから投稿

A slow, nearly underwhelming case study of Salvador, an artist with physical and mental ailments who finds his way into drug addiction. The film wraps itself around the investigation of Salvador's sexuality, almost too perfectly. The film dissects its lead man so much, it is a Freudian filmgoing experience. It's far from melodrama but too stern to be a comedy. With some focus, an easygoing watch.

村山章

PRO

“人生を振り替えるお年頃”を肴にしたアルモドバルの万華鏡

村山章さん | 2020年6月29日 | PCから投稿

古くからの盟友A・バンデラスが演じる映画監督が、明らかにアルモドバルと同じ髪型をしていることからも、本作は自伝的作品と思われるだろう。実際、主人公のアパートは、アルモドバルが暮らしている住居で撮影されたという。

だとしたら、ある映画をきっかけに主人公と仲違いする人気俳優は、いったい誰がモデル? もしかして『アタメ』の頃のバンデラス? なんて深追いをしたくなるが、さすがはアルモドバル、簡単に謎が解けるような告白映画を撮ったりはしない。

いくつかの時代を振り返りながら人生の断片を俯瞰する構成がとりとめもないからこそ、余計にリアルに思えてしまうのも巧妙な引掛けに思えた。自分の人生をモチーフに、老境に差し掛かった感慨を描いてはいても、やはりこれは架空の世界であり、だからこそ純化されていて美しい。映画は現実に勝るのだ。

過去作でも使っていた手だが、メタな映画内映画で遊んでみせるあたりも、本当に映画作りを楽しんでいるのだなという気がする。

清藤秀人

PRO

アルモドバルの最新作が観客を温かくもてなす理由

清藤秀人さん | 2020年6月28日 | PCから投稿

心身共に消耗し切っている映画監督が、過去に体験した切実で痛々しい恋愛や、愛してやまない母親への思いを再確認することで、再び創作意欲を取り戻していく。数ある職業の中でも、苦痛を創作の武器に換え、そこから作品を生み出せるのは、美術家か小説家、または、映画監督ぐらいではないだろうか。初の自伝とも言われる本作のために、作者のペドロ・アルモドバルは盟友のアントニオ・バンデラスに自身の分身と思しき主人公を演じさせ、自宅から所有しているアート(ギジェルモ・ペレス・ビジャルタの抽象画等)やインテリア(月の満ち欠けが楽しめるエクリッセ・ランプ等)や食器(エルメスのティーカップ等)を持ち出し、セットの中に自分が生きてきた時間と空間を見事に再構築している。稀代のアートコレクターとして知られるアルモドバルらしい舞台設定の下、語られる物語は、だからこそ観客を温かくもてなすのだろう。

映画レビュー

Dan Knighton

Dan Knightonさん PRO
2020年6月29日 | PCから投稿

Psycho-Spiritual Drama

A slow, nearly underwhelming case study of Salvador, an artist with physical and mental ailments who finds his way into drug addiction. The film wraps itself around the investigation of Salvador's sexuality, almost too perfectly. The film dissects its lead man so much, it is a Freudian filmgoing experience. It's far from melodrama but too stern to be a comedy. With some focus, an easygoing watch.

村山章

村山章さん PRO
2020年6月29日 | PCから投稿

“人生を振り替えるお年頃”を肴にしたアルモドバルの万華鏡

古くからの盟友A・バンデラスが演じる映画監督が、明らかにアルモドバルと同じ髪型をしていることからも、本作は自伝的作品と思われるだろう。実際、主人公のアパートは、アルモドバルが暮らしている住居で撮影されたという。

だとしたら、ある映画をきっかけに主人公と仲違いする人気俳優は、いったい誰がモデル? もしかして『アタメ』の頃のバンデラス? なんて深追いをしたくなるが、さすがはアルモドバル、簡単に謎が解けるような告白映画を撮ったりはしない。

いくつかの時代を振り返りながら人生の断片を俯瞰する構成がとりとめもないからこそ、余計にリアルに思えてしまうのも巧妙な引掛けに思えた。自分の人生をモチーフに、老境に差し掛かった感慨を描いてはいても、やはりこれは架空の世界であり、だからこそ純化されていて美しい。映画は現実に勝るのだ。

過去作でも使っていた手だが、メタな映画内映画で遊んでみせるあたりも、本当に映画作りを楽しんでいるのだなという気がする。

清藤秀人

清藤秀人さん PRO
2020年6月28日 | PCから投稿

アルモドバルの最新作が観客を温かくもてなす理由

心身共に消耗し切っている映画監督が、過去に体験した切実で痛々しい恋愛や、愛してやまない母親への思いを再確認することで、再び創作意欲を取り戻していく。数ある職業の中でも、苦痛を創作の武器に換え、そこから作品を生み出せるのは、美術家か小説家、または、映画監督ぐらいではないだろうか。初の自伝とも言われる本作のために、作者のペドロ・アルモドバルは盟友のアントニオ・バンデラスに自身の分身と思しき主人公を演じさせ、自宅から所有しているアート(ギジェルモ・ペレス・ビジャルタの抽象画等)やインテリア(月の満ち欠けが楽しめるエクリッセ・ランプ等)や食器(エルメスのティーカップ等)を持ち出し、セットの中に自分が生きてきた時間と空間を見事に再構築している。稀代のアートコレクターとして知られるアルモドバルらしい舞台設定の下、語られる物語は、だからこそ観客を温かくもてなすのだろう。