シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!

   112分 | 2018年 | G

人生をかけた舞台の幕が上がる、一発逆転エンターテイメント!

19世紀末のパリを舞台に、ベル・エポック時代を象徴する戯曲の誕生秘話を描いた伝記ドラマ。

19世紀末のパリを舞台に、ベル・エポック時代を象徴する戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」の誕生秘話を描いた伝記ドラマ。1897年、パリ。詩人で劇作家のエドモン・ロスタンは、もう2年近くもスランプ状態に陥っていた。そんな彼のもとに、大物俳優コンスタン・コクランの主演舞台を手がけるチャンスが舞い込む。しかし決まっているのは「シラノ・ド・ベルジュラック」というタイトルだけで、執筆は一向に進まない。そんな中、親友レオが愛する女性ジャンヌと、レオになり替わって文通することに。彼女との詩美あふれる手紙のやり取りに刺激され、自身の脚本執筆もついに進み出す。やがて、借金だらけの俳優や気まぐれな女優ら崖っぷちの舞台人たちが劇場ポルト・サン=マルタン座に集い、それぞれの人生を懸けた舞台の稽古が始まるが……。

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監督: アレクシス・ミシャリク
製作: アラン・ゴールドマン
原案: アレクシス・ミシャリク
出演: トマ・ソリベレオリビエ・グルメマティルド・セニエトム・レーブリュシー・ブジュナーアリス・ド・ランクザンイゴール・ゴッテスマンクレマンティーヌ・セラリエドミニク・ピノンシモン・アブカリアンマルク・アンドレオーニアントワーヌ・デュレリ
英題:Edmond
フランス,ベルギー / フランス語、ロシア語
(C)LEGENDE FILMS – EZRA – GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA – EZRA - NEXUS FACTORY - UMEDIA, ROSEMONDE FILMS - C2M PRODUCTIONS

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映画レビュー

高森 郁哉

PRO

恋文代筆の物語類型が持つ普遍の魅力を重層的に構成した技あり作劇

高森 郁哉さん | 2020年11月27日 | PCから投稿

岩井俊二監督の「ラストレター」やNetflix映画「ハーフ・オブ・イット」など、ラブレターの代筆や正体をなりすました文通を軸にした恋愛物は、バリエーションを増やしつつ今も作られ続けているが、その源流が19世紀末のパリで誕生した戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」だ。演劇ファンでなくとも、舞台を現代の北米に置き換えた映画「愛しのロクサーヌ」で大筋を知った人も多いはず。

さて本作は、“傑作劇の誕生秘話”という体で、劇作家エドモンが友人の恋文を代筆することに着想を得て、件の戯曲を書き上げ上演にこぎ着けるまでを快調に描く。劇中劇でのシラノとロクサーヌの文通、映画の中でのエドモンと衣装係の文通、2本の恋文代筆のストーリーラインを重層的に構成し、「シラノ」が持つ魅力を新たな切り口で伝えている。

俳優出身のアレクシス・ミシャリクは、16年に作・演出して高評価された舞台劇を、自ら映画化して長編監督デビューを果たした。俯瞰するなら、シラノ、エドモン、アレクシスの3重構造の活躍譚と捉えることもできよう。