この世界に残されて

この世界に残されて

3.6    88分 | 2019年 | G

一緒にいたいと思うのは、いけないことですか

ホロコーストで家族を失った医師と少女。二つの孤独な魂が寄り添うとき、絶望は希望へと変わる。

この世界に残されて

この世界に残されて

3.6 88分 | 2019年 | G

一緒にいたいと思うのは、いけないことですか

ホロコーストで家族を失った医師と少女。二つの孤独な魂が寄り添うとき、絶望は希望へと変わる。

プレミアムスクリーン
 |  配信期間: 2021年4月23日(金)~ 5月20日(木)

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ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたと言われるハンガリー。終戦後の1948年、ホロコーストを生き延びたものの、家族を喪い孤独の身となった16歳の少女クララは、ある日寡黙な医師アルドと出会う。言葉をかわすうちに、彼の心に自分と同じ欠落を感じ取ったクララは父を慕うようにアルドになつき、アルドはクララを保護することで人生を再び取り戻そうとする。彼もまた、ホロコーストの犠牲者だったのだ。だが、ソ連がハンガリーで権力を掌握すると、世間は彼らに対してスキャンダラスな誤解を抱き、やがて二人の関係も時の流れとともに移り変わってゆくーー。

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映画レビュー

牛津厚信

PRO

さりげなくも秀逸なラストシーンが深い余韻を残す

牛津厚信さん | 2020年12月30日 | PCから投稿

初めて触れる感触の映画だった。舞台は1948年、ハンガリー。ホロコーストの記憶を作品全体に漂わせながらも、本作は登場人物の心に刻まれた深い傷跡をフラッシュバックで呼び覚ますような真似はしない。本編時間は88分なので、これに過去の出来事を盛り込んで100分ほどの映画にすることもできたはず。だが、そうしなかった作り手の意志が、この映画を特別な存在へと高めているのは確実だ。時に「不在」とは「強い存在」を意味することがあるが、本作はこの「何を描くか」という線引きを大切にしながら丁寧に描写を重ねていく。描かれないからこそ我々は彼らの表情に何かを読み取り、相手の人生に寄り添いたいとこれほど必死に願い続けるのだろう。そうしているさなかも、あふれんばかりの陽光が差し、作品に透明感や静謐感をもたらし続ける。さりげなくも大切なことに気づかせるラストシーンが素晴らしい。その余韻が今なおずっと胸に響き続けている。

映画レビュー

牛津厚信

牛津厚信さん PRO
2020年12月30日 | PCから投稿

さりげなくも秀逸なラストシーンが深い余韻を残す

初めて触れる感触の映画だった。舞台は1948年、ハンガリー。ホロコーストの記憶を作品全体に漂わせながらも、本作は登場人物の心に刻まれた深い傷跡をフラッシュバックで呼び覚ますような真似はしない。本編時間は88分なので、これに過去の出来事を盛り込んで100分ほどの映画にすることもできたはず。だが、そうしなかった作り手の意志が、この映画を特別な存在へと高めているのは確実だ。時に「不在」とは「強い存在」を意味することがあるが、本作はこの「何を描くか」という線引きを大切にしながら丁寧に描写を重ねていく。描かれないからこそ我々は彼らの表情に何かを読み取り、相手の人生に寄り添いたいとこれほど必死に願い続けるのだろう。そうしているさなかも、あふれんばかりの陽光が差し、作品に透明感や静謐感をもたらし続ける。さりげなくも大切なことに気づかせるラストシーンが素晴らしい。その余韻が今なおずっと胸に響き続けている。