ラ・ラ・ランド

   128分 | 2016年 | G

「セッション」で一躍注目を集めたデイミアン・チャゼル監督が、ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン主演で描いたミュージカル映画。売れない女優とジャズピアニストの恋を、往年の名作ミュージカル映画を彷彿させるゴージャスでロマンチックな歌とダンスで描く。オーディションに落ちて意気消沈していた女優志望のミアは、ピアノの音色に誘われて入ったジャズバーで、ピアニストのセバスチャンと最悪な出会いをする。そして後日、ミアは、あるパーティ会場のプールサイドで不機嫌そうに80年代ポップスを演奏するセバスチャンと再会。初めての会話でぶつかりあう2人だったが、互いの才能と夢に惹かれ合ううちに恋に落ちていく。「セッション」でアカデミー助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズも出演。第73回ベネチア国際映画祭でエマ・ストーンが最優秀女優賞、第74回ゴールデングローブ賞では作品賞(ミュージカル/コメディ部門)ほか同賞の映画部門で史上最多の7部門を制した。第89回アカデミー賞では史上最多タイとなる14ノミネートを受け、チャゼル監督が史上最年少で監督賞を受賞したほか、エマ・ストーンの主演女優賞など計6部門でオスカー像を獲得した。

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映画レビュー

村山章

PRO

そりゃあ、やっかみたくもなる。

村山章さん | 2017年2月28日 | PCから投稿

ネタバレ

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高森 郁哉

PRO

ささやきのような、ため息のような歌唱がいい

高森 郁哉さん | 2017年2月23日 | PCから投稿

ミュージカルといえば朗々と歌い上げる歌唱法の印象だが、主役の2人はあまり声を張らず、ミュージカル場面以外の台詞とほぼ変わらないボイスで歌うシーンが多い。それがいい。甘さや幸福感だけでなく、切なさや悲しさも多分に含むテーマによく合う。

冒頭から圧巻。渋滞した高速道路の車のボンネットや屋根も活用する群舞も躍動感いっぱいだが、それを長回しで撮るカメラが動く動く。歌とダンスとシューティングの見事なコラボだ。

ゴズリングがジャズピアニストの設定で、当然ソロやバンドの演奏シーンも豊富。サウンドワークで面白いのは、楽器の音はおおむねハイファイ指向なのに対し、ボーカル録音には少々奥にこもったレトロ感のある処理がなされている。往年の名作ミュージカルへのオマージュは、物語のプロットやダンスシーンに数多く盛り込まれているが、そうした細やかな音作りにも新しさと懐かしさを感じさせる工夫が凝らされている。

清藤秀人

PRO

こんなにも説得力がある"たられば"なら受け容れたい!!

清藤秀人さん | 2017年2月18日 | iPhoneアプリから投稿

今更、往年のMGMミュージカルやジャック・ドゥミーの代表作を引き出しとして引用するのは、もうやめよう。来るアカデミー賞で史上最多のノミネーションを勝ち取ったことだって、言うなれば後付け。はっきり言おう。「ラ・ラ・ランド」の魅力は現代のL.A.、つまり太平洋を隔てて東京とも地続きの町で、東京、または日本の町々にもいるに違いない、いて欲しい、夢に向かって命を削っている若者の切なさが、ファンシーでジャジーなメロディとダンスの中に丹精込めて散りばめられていること。だから、ストーリーなんてあってないようなものという見方にも異議を唱えたい。人生で諦めるべきでないことと、諦めるしかないことが、映画だけに許される魔法の手法によって視覚化されるラストの10分は、恐らく、そんな時間をまさに生きようとする、また、生きて来たすべての観客のハートを鷲掴みにするはず。こんなにも説得力がある"たられば"なら、喜んで受け容れたい。そう感じるに違いない。