映画レビュー
PRO
欲望も愛の形も様々
杉本穂高さん | 2020年2月27日 | PCから投稿
この映画は欧米でどう受け止められるのだろうとふと考えてしまった。BBCのセックスロボットのドキュメンタリーでは、日本のラブドール工場を訪れた女性リポーターが泣き出すというシーンがあって、それが物議をかもしたことがある。
タナダユキ監督にはそういう奇異なものを見る視点は全くない。どこまでも人に誠実に向き合っている。正しい愛、正しい欲望などということは決して描いていない。欲望も愛の形も様々であることをきちんと了解して描いている。グローバリズムの圧力の中でこういう姿勢はどこまで保てるだろうか。
それにしても人形とは人間にとって何なのだろう。モノだけれどただのモノではない。やや人間寄りのモノというか、なんらかの魂的なものをそこに見出してしまっているように思える。それにしても、オリエント工業の技術力はすごい。