ザ・ピーナッツバター・ファルコン

3.8    97分 | 2019年 | G

ザ・ピーナッツバター・ファルコン

3.8 97分 | 2019年 | G

ツキに見放された漁師と施設から脱走したダウン症の青年、施設の看護師の3人による青年の夢をかなえるための冒険の旅を描いたヒューマンドラマ。養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃からの夢だったプロレスラーの養成学校に入るため施設を脱走する。兄を亡くして孤独な日々を送る漁師のタイラーは、他人の獲物を盗んでいたことがバレたことから、ボートでの逃亡を図る。そんなタイラーと偶然に出会ったザック、そしてザックを捜すためにやってきた施設の看護師エレノアも加わり、3人はザックのためにある目的地へと向かう。タイラー役をシャイア・ラブーフ、エレノア役をダコタ・ジョンソン、ザック役を作品製作のきっかけとなったザック・ゴッツァーゲンが演じ、ジョン・ホークス、トーマス・ヘイデン・チャーチらが脇を固める。監督は本作が長編初監督作となるタイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツ。

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映画レビュー

Dan Knighton

PRO

Inspired Family Film that Doesn't Really Get Anywhere

Dan Knightonさん | 2021年5月27日 | PCから投稿

Gottsagen's presence feels awaited as we hardly get any movies with even a supporting role Down-syndrome actor. LaBeouf is also performing his best as usual here. The story of running away from the state who incapacitates disabled is a conservative a tale, but the film is mostly charming. For sure, the ending is over the top. Not really going anywhere, it's probably best watched as a family movie.

杉本穂高

PRO

一風変わったロードムービー

杉本穂高さん | 2020年3月30日 | PCから投稿

ブリーフ一丁のダウン症の青年と、他人のものを盗んで追われる漁師が出会い、旅をともにする一風変わったロードムービー。大昔の悪役のプロレスラーに憧れるダウン症の青年ザックは、そのレスラーの開くレスリングスクールに入るために寮を逃げ出す。お尋ね者同士の二人はいがみ合いながらも次第に意気投合、川をくだってレスラーのいる地を目指す。
孤独な二人が絆を深め合う旅というのはよくある話だが、妙に心地よいテンポ感のある作品で、飽きずに引き込まれる。プロレスの虚構性を巧みに用いているのも面白い。ザックの見ているプロレスビデオは古いもので、そのレスラーもとっくに引退しているのだが、寂れた街でプロレス興行に関わっている。プロレスという虚構が人夢を与え、それがザックを動かす原動力になる。虚構は人間にとって大事なのだ。夢を信じる力があるから前を向いて進めるのだ。夢見ることを忘れてしまった人に観てほしいと思う。

村山章

PRO

プロレスというモチーフがもたらしたもの。

村山章さん | 2020年3月23日 | PCから投稿

ちょっと甘すぎるロードムービーだとは思う。予定調和的な作りが、いさかか物足りなさを感じた理由のひとつだと思うのだが、随所随所で予定調和を壊すような不安定さがあり、それが映画の緊張感に繋がっている。ひとつは(ジョージア州で撮影されたらしい)湿地帯というロケーションがもたらす奇妙な異世界感。プロットだけ取り上げると「プロレス教室を目指すお話」なのだが、旅はどんどん文明社会から隔絶され、ファンタジー度を増していくのだ。

そしてたどり着いた先にはこれまた世間から隔絶された人たちが寄り添って暮らしているようなコミュニティがあって、そこで住人たちは青空プロレスを楽しんでいる。本当にこういうコミュニティがあるかは知らないが、本当に異世界に迷い込んだような気になってくる。

主人公が憧れるレスラー役は俳優のトーマス・ヘイデン・チャーチだが、レスラー仲間には本職のレスラー、ジェイク・ロバーツが、そしてレフリー役にはこれまたレスラーのミック・フォーリーが演じている。彼らの複雑な生き様はドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・マット』や『ジェイク・ザ・スネークの復活』に詳しいのだが、特にジェイク・ロバーツという人物の危うさがそのままクライマックスの不穏さに繋がっていて、メタフィクショナルな効果をもたらしている。するりとアメリカン・プロレスの闇が紛れ込んでくる瞬間に本気でハラハラした。

牛津厚信

PRO

最高の温かさで包み込んでくれるロードムービー

牛津厚信さん | 2020年2月25日 | PCから投稿

雄大な河が、海へと注ぎ込む辺り。この映画のあらゆる登場人物は心に何かを秘めて生きている。ここからどこかへ旅立ちたい。目の前の壁を突き破りたい。でも現実を考えるとそんなことは不可能・・・。そんな思いを全て背負いこむかのようにダウン症の青年が介護施設を飛び出し、途中で出会った仲間とともに、夢にまで見たあの場所をひたすら目指す。

本作は障がいといった要素を扱いつつも、しかし決してお涙頂戴には陥らない。むしろそこに生きるあらゆる人々の姿を平等に見つめ、全てを温かなユーモアで包み込みながら旅を続けていく。その視座がなんとも素晴らしい。目的地で待ち構える一人の俳優もまた素敵だ。もしや本作の監督は、同じロードムービーの先輩にして大傑作『サイドウェイ』へのありったけの敬意をここに込めたのだろうか。一人で始まった旅は、いつの間にか二人、三人へと増えた。海へ注ぎ込む河のように、その姿は堂々と光り輝いている。

映画レビュー

Dan Knighton

Dan Knightonさん PRO
2021年5月27日 | PCから投稿

Inspired Family Film that Doesn't Really Get Anywhere

Gottsagen's presence feels awaited as we hardly get any movies with even a supporting role Down-syndrome actor. LaBeouf is also performing his best as usual here. The story of running away from the state who incapacitates disabled is a conservative a tale, but the film is mostly charming. For sure, the ending is over the top. Not really going anywhere, it's probably best watched as a family movie.

杉本穂高

杉本穂高さん PRO
2020年3月30日 | PCから投稿

一風変わったロードムービー

ブリーフ一丁のダウン症の青年と、他人のものを盗んで追われる漁師が出会い、旅をともにする一風変わったロードムービー。大昔の悪役のプロレスラーに憧れるダウン症の青年ザックは、そのレスラーの開くレスリングスクールに入るために寮を逃げ出す。お尋ね者同士の二人はいがみ合いながらも次第に意気投合、川をくだってレスラーのいる地を目指す。
孤独な二人が絆を深め合う旅というのはよくある話だが、妙に心地よいテンポ感のある作品で、飽きずに引き込まれる。プロレスの虚構性を巧みに用いているのも面白い。ザックの見ているプロレスビデオは古いもので、そのレスラーもとっくに引退しているのだが、寂れた街でプロレス興行に関わっている。プロレスという虚構が人夢を与え、それがザックを動かす原動力になる。虚構は人間にとって大事なのだ。夢を信じる力があるから前を向いて進めるのだ。夢見ることを忘れてしまった人に観てほしいと思う。

村山章

村山章さん PRO
2020年3月23日 | PCから投稿

プロレスというモチーフがもたらしたもの。

ちょっと甘すぎるロードムービーだとは思う。予定調和的な作りが、いさかか物足りなさを感じた理由のひとつだと思うのだが、随所随所で予定調和を壊すような不安定さがあり、それが映画の緊張感に繋がっている。ひとつは(ジョージア州で撮影されたらしい)湿地帯というロケーションがもたらす奇妙な異世界感。プロットだけ取り上げると「プロレス教室を目指すお話」なのだが、旅はどんどん文明社会から隔絶され、ファンタジー度を増していくのだ。

そしてたどり着いた先にはこれまた世間から隔絶された人たちが寄り添って暮らしているようなコミュニティがあって、そこで住人たちは青空プロレスを楽しんでいる。本当にこういうコミュニティがあるかは知らないが、本当に異世界に迷い込んだような気になってくる。

主人公が憧れるレスラー役は俳優のトーマス・ヘイデン・チャーチだが、レスラー仲間には本職のレスラー、ジェイク・ロバーツが、そしてレフリー役にはこれまたレスラーのミック・フォーリーが演じている。彼らの複雑な生き様はドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・マット』や『ジェイク・ザ・スネークの復活』に詳しいのだが、特にジェイク・ロバーツという人物の危うさがそのままクライマックスの不穏さに繋がっていて、メタフィクショナルな効果をもたらしている。するりとアメリカン・プロレスの闇が紛れ込んでくる瞬間に本気でハラハラした。

牛津厚信

牛津厚信さん PRO
2020年2月25日 | PCから投稿

最高の温かさで包み込んでくれるロードムービー

雄大な河が、海へと注ぎ込む辺り。この映画のあらゆる登場人物は心に何かを秘めて生きている。ここからどこかへ旅立ちたい。目の前の壁を突き破りたい。でも現実を考えるとそんなことは不可能・・・。そんな思いを全て背負いこむかのようにダウン症の青年が介護施設を飛び出し、途中で出会った仲間とともに、夢にまで見たあの場所をひたすら目指す。

本作は障がいといった要素を扱いつつも、しかし決してお涙頂戴には陥らない。むしろそこに生きるあらゆる人々の姿を平等に見つめ、全てを温かなユーモアで包み込みながら旅を続けていく。その視座がなんとも素晴らしい。目的地で待ち構える一人の俳優もまた素敵だ。もしや本作の監督は、同じロードムービーの先輩にして大傑作『サイドウェイ』へのありったけの敬意をここに込めたのだろうか。一人で始まった旅は、いつの間にか二人、三人へと増えた。海へ注ぎ込む河のように、その姿は堂々と光り輝いている。