スパイの妻 劇場版

スパイの妻 劇場版

3.5    115分 | 2020年 | G
スパイの妻 劇場版

スパイの妻 劇場版

3.5 115分 | 2020年 | G

スクリーン1

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1940年、第二次世界大戦前夜の神戸。 時代の不穏な空気を感じ取っていた貿易商・福原優作(高橋一生)は、妻・聡子(蒼井優)を残し、甥である竹下文雄(坂東龍汰)と共に満洲に赴く。 優作は偶然そこで目にした非道な行いを世界に知らしめなければならないと心に決め、行動に移そうとする。その頃、聡子は幼馴染である憲兵・津森泰治(東出昌大)に呼び出され、優作が満州から連れ帰ったという女の死を告げられる。嫉妬に駆られた聡子は優作を問い詰めるも、やがてその意志を知り、彼の身の安全と二人の幸せのために驚くべき行動に出る。幸福で平穏な日常が戦争という時代の波に翻弄される中、果たして、聡子と優作がたどり着く運命とは?鬼才・黒沢清が描き出す、究極のラブ・サスペンス!

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監督: 黒沢清
脚本: 濱口竜介 野原位 黒沢清
エグゼクティブプロデューサー: 篠原圭 土橋圭介 澤田隆司 岡本英之 高田聡 久保田修
出演: 蒼井優高橋一生坂東龍汰恒松祐里みのすけ玄理東出昌大笹野高史
日本 / 日本語
(C)NHK, NHK エンタープライズ, Incline, C&I エンタテインメント

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映画レビュー

高森 郁哉

PRO

「ダゲレオタイプの女」との類似点が若干認められたが

高森 郁哉さん | 2020年10月24日 | PCから投稿

黒沢清監督作品はVシネマも含め大半を好ましく鑑賞してきたが、この4年ほどの映画には以前ほど乗り切れずにいる。「スパイの妻」は現代や近未来の日本でない舞台設定や、古風さや格調高さが趣になっている点で、「ダゲレオタイプの女」(16)に近い印象を受けた。今作のある種舞台劇のような台詞も、現代口語からの異化という点で外国語に近い効果があった。蒼井優と高橋一生は台詞回しを含め難しい役に健闘したと思う。

振り返るに、黒沢映画の恐怖や暴力の表現を通じて人間の本質を鋭くえぐり提示するような衝撃と刺激に虜になっていたのだが、近作ではそんな要素が希薄になった気がし、物足りなく感じるのかもしれない。監督の成熟と進化であり、作品としてソフィスティケートされてきたのは確かだが、それに追いつけないもどかしさが乗り切れない理由かも。「岸辺の旅」(15)あたりまではキャッチアップできている気がしていたのになあ…。

細野真宏

PRO

高橋一生、蒼井優、東出昌大の演技が冴えベネチア国際映画祭の銀獅子賞も納得。会心の黒沢清監督作。

細野真宏さん | 2020年10月15日 | PCから投稿

本作は今年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞しました。
1940年の「太平洋戦争前夜の神戸」が舞台の中心となっていますが、この舞台や美術、装飾などが意外に凝っています。これは、製作にNHKがかかわっているため、割と豪華で緻密な撮影を敢行することができたようです。通常の作品では雑音が入ったりして「アフレコ」で後から声を入れます。ところが本作では、メインキャストは撮影時のままの声をそのまま使っていて、それがリアリティの源泉にもなっていました。
貿易会社の社長に扮するのは高橋一生で、映画のタイトルにもあるように、ちょっと謎な感じの人物を飄々と演じています。
そして、その妻に扮する蒼井優は、夫の「謎」に翻弄されながらも、高橋一生と「騙しあい」を繰り広げ、その怪演が見どころです。
さらには、蒼井優が扮する聡子を心配すると同時に、国家への忠誠を守らなければならない憲兵に扮する東出昌大も緊迫感のあるシーンを見事に演じ切っていました。
独自性もあり、歴史の闇に迫った意欲的なサスペンス映画だと思います。

和田隆

PRO

超高解像度の撮影で登場人物の心情を表現

和田隆さん | 2020年10月14日 | PCから投稿

ネタバレ

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牛津厚信

PRO

黒沢作品はいつも油断ならない

牛津厚信さん | 2020年9月30日 | PCから投稿

黒沢清監督の映画はいつも油断ならない。我々は得てしてカメラのフレームが切り取る四角い空間だけが物語の全てと思いがちだが、黒沢作品はその外側に「世界」があることを囁き続ける。窓から注ぎこむ怪しく優しい光。ゆらゆらそよぐカーテン。気にしなければ気にならないが、気になりだすと目が離せなくなる。この「内と外」をおぼろげな描写でつなぐやり方は、とりわけ本作の物語構造の中で効果的に活用されているように思えてならない。スパイ映画といえば諜報部やボンドを真っ先に思い浮かべがちだが、これは軍靴の音が高鳴る時代、一組の夫婦が真実を世に告発しようとする物語。今どこかで巻き起こっていることは、決して別世界の他人事では済まされないのだ。表と裏、真実と虚構、フィルム、映写機。主役なのに度々カメラの外へ消え去る高橋一生と、カメラの内部に取り残される蒼井優との関係性や互いに寄せる想いが、絶妙な感度で奏でられた逸品である。

映画レビュー

高森 郁哉

高森 郁哉さん PRO
2020年10月24日 | PCから投稿

「ダゲレオタイプの女」との類似点が若干認められたが

黒沢清監督作品はVシネマも含め大半を好ましく鑑賞してきたが、この4年ほどの映画には以前ほど乗り切れずにいる。「スパイの妻」は現代や近未来の日本でない舞台設定や、古風さや格調高さが趣になっている点で、「ダゲレオタイプの女」(16)に近い印象を受けた。今作のある種舞台劇のような台詞も、現代口語からの異化という点で外国語に近い効果があった。蒼井優と高橋一生は台詞回しを含め難しい役に健闘したと思う。

振り返るに、黒沢映画の恐怖や暴力の表現を通じて人間の本質を鋭くえぐり提示するような衝撃と刺激に虜になっていたのだが、近作ではそんな要素が希薄になった気がし、物足りなく感じるのかもしれない。監督の成熟と進化であり、作品としてソフィスティケートされてきたのは確かだが、それに追いつけないもどかしさが乗り切れない理由かも。「岸辺の旅」(15)あたりまではキャッチアップできている気がしていたのになあ…。

細野真宏

細野真宏さん PRO
2020年10月15日 | PCから投稿

高橋一生、蒼井優、東出昌大の演技が冴えベネチア国際映画祭の銀獅子賞も納得。会心の黒沢清監督作。

本作は今年のベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞しました。
1940年の「太平洋戦争前夜の神戸」が舞台の中心となっていますが、この舞台や美術、装飾などが意外に凝っています。これは、製作にNHKがかかわっているため、割と豪華で緻密な撮影を敢行することができたようです。通常の作品では雑音が入ったりして「アフレコ」で後から声を入れます。ところが本作では、メインキャストは撮影時のままの声をそのまま使っていて、それがリアリティの源泉にもなっていました。
貿易会社の社長に扮するのは高橋一生で、映画のタイトルにもあるように、ちょっと謎な感じの人物を飄々と演じています。
そして、その妻に扮する蒼井優は、夫の「謎」に翻弄されながらも、高橋一生と「騙しあい」を繰り広げ、その怪演が見どころです。
さらには、蒼井優が扮する聡子を心配すると同時に、国家への忠誠を守らなければならない憲兵に扮する東出昌大も緊迫感のあるシーンを見事に演じ切っていました。
独自性もあり、歴史の闇に迫った意欲的なサスペンス映画だと思います。

和田隆

和田隆さん PRO
2020年10月14日 | PCから投稿

超高解像度の撮影で登場人物の心情を表現

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牛津厚信

牛津厚信さん PRO
2020年9月30日 | PCから投稿

黒沢作品はいつも油断ならない

黒沢清監督の映画はいつも油断ならない。我々は得てしてカメラのフレームが切り取る四角い空間だけが物語の全てと思いがちだが、黒沢作品はその外側に「世界」があることを囁き続ける。窓から注ぎこむ怪しく優しい光。ゆらゆらそよぐカーテン。気にしなければ気にならないが、気になりだすと目が離せなくなる。この「内と外」をおぼろげな描写でつなぐやり方は、とりわけ本作の物語構造の中で効果的に活用されているように思えてならない。スパイ映画といえば諜報部やボンドを真っ先に思い浮かべがちだが、これは軍靴の音が高鳴る時代、一組の夫婦が真実を世に告発しようとする物語。今どこかで巻き起こっていることは、決して別世界の他人事では済まされないのだ。表と裏、真実と虚構、フィルム、映写機。主役なのに度々カメラの外へ消え去る高橋一生と、カメラの内部に取り残される蒼井優との関係性や互いに寄せる想いが、絶妙な感度で奏でられた逸品である。