映画レビュー
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「トイ・ストーリー4」「アナ雪2」を抑えてゴールデングローブ賞を受賞した、膨大な作業の結晶スタジオライカ最新作!
細野真宏さん | 2020年11月12日 | PCから投稿
まず本作は、ストップモーション・アニメーションで最高峰のスタジオであるライカの最新作です。
個人的には、ゴールデングローブ賞では「アナと雪の女王2」を推していましたが、本作を見て納得しました。
やっぱりスタジオライカ作品は素晴らしい、と。
そもそも「ストップモーション・アニメーション」とは、想像を絶するほどの作業量から生まれます。スタジオライカ作品の場合は、キャラクターの人形を1体1体作り、さらには、そのキャラクターの表情を必要なだけ膨大なパーツを作り(例えば、主役のライオネルのパーツは、顔だけで3万9000通り!)、それらを1秒間あたり24コマも動かして撮り続けるのです。
この古くて新しい「ストップモーション・アニメーション」の歴史において、本作は史上初となるゴールデングローブ賞で最優秀長編アニメーション映画賞を受賞しました!
(アカデミー賞では「トイ・ストーリー4」が受賞しました)
声優陣も豪華で、主役の「ライオネル」はヒュー・ジャックマン、「Mr.リンク」は「ハングオーバー!」シリーズで世界の笑いを誘ったザック・ガリフィアナキス、そして後半で活躍する「アデリーナ」は「アバター」や「アベンジャーズ」シリーズのゾーイ・サルダナが担当しています。
強いて言うと、本作でマイナス要素があるとしたら、ファーストルックであまり引きがない面があるのかもしれません。(実は私は、未発見の生物である「Mr.リンク」のデザインに、当初は興味を持てませんでした)
とは言え、第1作目で「コララインとボタンの魔女」という大傑作を作り上げたスタジオライカ作品です。やはり優れた作品であるはずで、実際に見てみて良かったと思いました。(ストーリーはもう少し凝っていると、なお良かったと思います)
個人的に危惧するのは、このままスタジオライカのファン層が増えていかないと、せっかくの匠の技の火が消えてしまうかもしれない、ということです。本作で「ストップモーション・アニメーション」の良さが日本で広がっていけるのか注目したいです。