バーニング 劇場版
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品、国際批評家連盟賞受賞
「ペパーミント・キャンディー」などの韓国の名匠イ・チャンドンが8年ぶりに監督した想像を絶するミステリー。
映画レビュー
PRO
A Literary Thriller Mystery
Dan Knightonさん | 2020年9月7日 | PCから投稿
Burning is a read-between-the-lines masterpiece, cryptic and not conforming to any genre. Jong-Su barely talks throughout the film, but through his motions in the chain of events and interactions with other characters and subplots of the film, we are always within his thinking. It's a sad tale dealing with loss of heart and jealousy; promises perceived but not fulfilled. Happy endings can't occur.
PRO
霧の中、夕焼けの中、おぼろげな現実に手を伸ばす。
牛津厚信さん | 2019年1月31日 | PCから投稿
イ・チャンドン監督の8年ぶりとなる新作は、日本では先にNHKで95分版が放送されるなど、実に不可思議な公開方式となった。村上春樹の短編小説を読むと、どちらかというとNHK版の方が原作のニュアンスに近いかなと思う。対する148分の劇場版はそこから完全にイ・チャンドン世界に振り切れてしまった印象だ。忽然と姿を消した「彼女」と同様、この消えた(編集削除された)「50分」もまた、二つの兄弟のごとき作品の間に漂う浮遊物のように思えてならない。
ともあれ、村上が著した頃と時代が一回りして、本作には逆に現代社会を鋭く突き刺したような生々しさが充満する。例えば、存在と不在。ネット世界では本当に実在するかなどもはや問題ではない。創作という行為もこれとよく似ている。イ監督はこれらを否定も肯定もせず、霧の中で手を伸ばすかのように世界を泳ぐ。我々も泳ぐように映画に触れる。とても刺激的なひとときがそこにはあった。