Away

   81分 | 2019年 | G

アヌシーほか国際アニメーション映画祭で9冠達成!

ラトビアの新進クリエイターがたった一人ですべてを作り上げた、全編セリフ一切なしの全く新しいロードムービー。

ラトビアの新進クリエイター、ギンツ・ジルバロディスがひとりで監督・製作・編集・音楽などを担当し、3年半の歳月をかけて完成させた長編アニメーション。飛行機事故で島に不時着した少年が、さまざまな土地をオートバイで駆け抜けていく姿を描いたロードムービー。全編にわたりセリフは一切なく、絶望から不安、孤独、そして希望をめぐる哲学的なメタファーに満ちた冒険の旅を、美しい映像でつづっていく。世界最大のアニメーション映画祭として知られるアヌシー国際映画祭では、革新性ある長編作品を対象としたコントルシャン賞を受賞。日本の新千歳空港国際アニメーション映画祭でも審査員特別賞を受賞するなど、各国で高い評価を獲得した。日本ではそのほか、2019年・第32回東京国際映画祭「ユース」部門上映で「アウェイ」のタイトルで上映されている。

※映像は、セリフの無い「オリジナル本編」となります。

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監督: ギンツ・ジルバロディス
製作: ギンツ・ジルバロディス
編集: ギンツ・ジルバロディス
英題:Away
ラトビア
(C)2019 DREAM WELL STUDIO. All Rights Reserved.

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映画レビュー

牛津厚信

PRO

この手探り感と疾走感がクセになる

牛津厚信さん | 2020年12月27日 | PCから投稿

彼に何が起こったのかはまるで分からない。パラシュートにぶら下がった位置から始まるこの物語は、得体の知れない島で、一つ一つの手がかりと足場を確かめながら目的地を目指す奇妙なものだ。ある意味、ロールプレイング・ゲームのようであり、同時に生死の境目で魂が彷徨っているかのような気持ちにさせる。はたまた、深層心理における心の浄化作用を詩的かつ寓話的に紡ぎあげた物語としても受け止めうるのかも。そこに現れる、宮崎アニメのデイダラボッチやカオナシを思わせる黒い影は一体何なのか。この存在について説明や理由づけが一切ないところが潔い。セリフを排することで想像力はかえって刺激され、主人公の一挙手一投足や影に追われる感覚さえもがリアルに入り込んでくる。ラトビア人のクリエイターがほぼ一人で作り上げたというこの世界。彼と私たちが、言葉や文化を超えて”感覚”によって繋がりあっていることにひたすら感動を覚える一作だった。