映画レビュー
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愛の始まりと終わりを織り交ぜた、全く新たな語り口
牛津厚信さん | 2017年5月29日 | PCから投稿
愛の始まりと終わり、出会いと別れを鮮やかな手法で綴った物語だ。時間軸を巧みに用いて、愛を織り成す両側面を並行して描き出して見せた趣向は、映画の語り口としての「発明」と言っていい。何よりも驚かされるのが二人の間に流れる特別な空気だ。この関係性を生み出す上で、まず彼らは「過去」を撮影し、それから二人を一緒に住まわせたのちに「現在」の撮影に挑んだのだとか。即興性の高いやりとりや、濃密な関係性が随所で垣間見えるのはそのためだ。出会った頃はフレッシュだった愛の形が形骸化して今その場に横たわっている様子はある意味とても残酷。しかしこの映画の中では苦さも甘さも同時に口にすることで一つの儚い美しさとして受け止めることができる。この魔法のようなタッチにかつてない衝撃を覚えた。そしてゴズリングの禿げ方もまた恐れおののく要素の一つ。どうやら監督の頭髪を参考にしたらしく、気になる方は彼の写真を確認してみてほしい。