スクリーン2 配信期間:2023年4月7日(金)まで
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「父、帰る」「裁かれるは善人のみ」などで世界的に高く評価されたロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ監督が、失踪した息子の行方を追う身勝手な両親の姿を美しくも冷ややかな映像で描き、2017年・第70回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したサスペンスドラマ。一流企業で働くボリスと美容院を経営するイニヤの夫婦。離婚協議中の2人にはすでにそれぞれ別々のパートナーがおり、新たな生活のため一刻も早く縁を切りたいと考えていた。2人には12歳の息子アレクセイがいたが、どちらも新生活に息子を必要としておらず、ある日激しい罵り合いの中で息子を押し付け合ってしまう。その翌朝、学校に行ったはずの息子がそのまま行方不明になり、彼らは必死でその行方を捜すが……。
監督: アンドレイ・ズビャギンツェフ 製作: アレクサンドル・ロドニャンスキー セルゲイ・メルクモフ グレブ・フェティソフ 製作総指揮: エカテリーナ・マラクーリナ バンサン・マラバル パスカル・コーシュトゥー グレゴワール・ソルワ 出演: マルヤーナ・スピバク / アレクセイ・ロズィン / マトベイ・ノビコフ / マリーナ・バシリエバ / アンドリス・ケイシス / アレクセイ・ファティフ 英題:Nelyubov ロシア,フランス,ドイツ,ベルギー / ロシア語 (C)2017 NON-STOP PRODUCTIONS – WHY NOT PRODUCTIONS
PRO
身近なところにも国際社会にも広がるラブレスの病
牛津厚信さん | 2018年4月27日 | PCから投稿
ネタバレ
ロシアの名匠が撮り上げた本作は前半と後半とで違った表情をあらわにする。前半では愛をなくした親たちの姿を“子供の視点”から描き出し、後半ではそれが完全に逆転する形で、忽然といなくなった子の姿を探し求める“親の視点”が素肌に焼きつくような痛みを持って映し出される。だがどれだけあがいても、泣き叫んでも、その姿は見えず。本作は特殊な構造を持ち、観客にも少しずつじわじわと事の重大さが認識できてくる。また、劇中には鉄骨むき出しの廃墟や寒々しい森の中など登場人物の心象を表したかのような描写が多いことにも気づかされる。どれだけ探しても愛が見つからない、見つかったとしても上着だけ。これほど「ラブレス」な状態を的確に表現した映画があるだろうか。ラスト付近でテレビに国際ニュースが映し出される。観ているようで観ていない。あるいは観ていても完全に他人事。ラブレスの病はかくも深刻に国際社会をも飲み込んでいるのだ。
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