スクリーン2 配信期間:2025年1月20日(月)まで
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「夜よ、こんにちは」「肉体の悪魔」などで知られるイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオがイタリアマフィア史上最大のミステリーを映画化。1980年代初頭、マフィア間の抗争が激化の一途をたどるシチリア。パレルモ派の大物ブシェッタは抗争の仲裁に失敗しブラジルへ逃れるが、残された家族や仲間たちはコルレオーネ派の報復により次々と殺害されてしまう。ブラジルで逮捕されイタリアに引き渡されたブシェッタは、マフィア撲滅に執念を燃やす判事ファルコーネから捜査への協力を求められる。麻薬と殺人に明け暮れる犯罪組織コーザ・ノストラに失望していたブシェッタは、組織の罪を告白することを決意。それはコーザ・ノストラの「血の掟」に背く行為だった。出演は「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」のピエルフランチェスコ・ファビーノ、「輝ける青春」のルイジ・ロ・カーショ。2019年・第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
監督: マルコ・ベロッキオ 脚本: マルコ・ベロッキオ ルドビカ・ランポルディ バリア・サンテッラ フランチェスコ・ピッコロ 撮影: ブラダン・ラドビッチ 出演: ピエルフランチェスコ・ファビーノ / マリア・フェルナンダ・カンディド / ファブリツィオ・フェラカーネ / ルイジ・ロ・カーショ / ファウスト・ルッソ・アレシ / ニコラ・カリ / ジョバンニ・カルカーニョ / ブルーノ・カリエッロ / アルベルト・ストルティ / ビンチェンツォ・ピロッタ / ゴフリード・ブルーノ / ガブリエーレ・チッチレッロ / パリデ・チッチレッロ / エリア・シルトン / アレッシオ・プラティコ / ピエール・ジョルジョ・ベロッキオ 英題:Il traditore イタリア,フランス,ブラジル,ドイツ / イタリア語、ポルトガル語、英語 (C)2019 IBC MOVIE, Kavac Film, Gullane, Match Factory Productions Ad Vitam Production Arte France Cinema ZDF/Arte
PRO
まさか今の日本と重ねて観てしまうとは!
村山章さん | 2020年8月31日 | PCから投稿
ネタバレ
いくばくか歴史の知識やシチリアのマフィアについて知っていないと分かりづらいところはあるものの、実話ベースに描かれる内部告発の物語は非常に興味深く、法廷劇となる中盤も、日本ではありえない裁判の姿に驚きつつ、面白さに惹き込まれる。しかし、なぜベロッキオは80年代から20年くらいのスパンのこの実話を、いま映画にしたのだろう? 正直イタリアの世相に詳しくないのでそこのところはよくわからないのだが、現在とのリンクを考えていたせいか、日本の姿と被るところが多くて空恐ろしくなった。トンマーゾ・ブシェッタは、沈黙の掟を破り組織を裏切った理由について、「裏切ったのは自分ではない、昔の仁義を失ったボス連中が裏切った」という意味の発言をする。しかし、旧来の価値観を持つマフィアや一部の民衆はブシェッタを恥ずべき裏切り者として蛇蝎の如く嫌う。自分は今の日本が、政府の犯罪まがいの為政によって劣化したと感じている。が、それに対して批判的な人たちが、情緒的な理由で国の裏切り者でもあるかのように叩かれる姿を目にしてきた。劇中の20親等皆殺しみたいな凄惨な事件は起きていないが、それでもイタリアは裏の権力者である彼らを終身刑にするところまでこぎつけた。社会が機能するとは、こういうことではないか。そして密告者となったブシェッタが語る大義名分を全肯定せず、正義に目覚めた元マフィアみたいな短絡的な描き方をしなかったことも本作の優れた点だと思っている。
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