パピチャ 未来へのランウェイ

パピチャ 未来へのランウェイ

3.7    109分 | 2019年 | G
パピチャ 未来へのランウェイ

パピチャ 未来へのランウェイ

3.7 109分 | 2019年 | G

スクリーン1
配信期間: 2021年10月7日(木)まで

1990年代のアルジェリア内戦(暗黒の10年)を背景に、ファッションデザイナーを志す少女の視点を通して、イスラム原理主義による女性弾圧の実態を描いた人間ドラマ。アルジェリアで17歳まで過ごし、これが長編映画監督デビュー作となるムニア・メドゥールが、自身の経験から生み出した。2019年・第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門で上映されて称賛を集めるも、本国アルジェリアでは当局によって上映禁止となった。90年代、アルジェリア。ファッションデザイナーを夢みる大学生のネジャマは、ナイトクラブで自作のドレスを販売していたが、イスラム原理主義の台頭により、首都アルジェでは女性にヒジャブの着用を強要するポスターがいたるところに貼りだされていた。そんな現実に抗うネジュマは、ある悲劇的な出来事をきっかけに、自分たちの自由と未来をつかみ取るため、命がけともいえるファッションショーの開催を決意する。

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監督: ムニア・メドゥール
脚本: ムニア・メドゥール
出演: リナ・クードリシリン・ブティラアミラ・イルダ・ドゥアウダザーラ・ドゥモンディヤシン・ウイシャナディア・カシメリエム・メジケーン
英題:Papicha
フランス,アルジェリア,ベルギー,カタール / フランス語、アラビア語、英語
(C)2019 HIGH SEA PRODUCTION – THE INK CONNECTION – TAYDA FILM – SCOPE PICTURES – TRIBUS P FILMS –– JOUR2FETE – CREAMINAL - CALESON – CADC

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映画レビュー

杉本穂高

PRO

伝統を否定せず作り変える

杉本穂高さん | 2020年11月29日 | PCから投稿

アルジェリアの90年代の内戦時代の物語だ。女性は自由な服装が許されない、主人公は伝統布のハイクを使ったドレスを作り、ファッションショーを開催しようと奔走する。ハイクを着ている主人公の祖母は、その昔フランスの植民地支配に抵抗するために戦った経験を語る。ハイクの下に銃を隠して男と並んで戦って、独立を勝ち取ったのだと誇らしげに語る。しかし、内戦時代には、テロリストがハイクの下に銃を隠して、ジャーナリストを殺している。主人公は、さらに銃を隠すことのできないドレスに仕立て直すことで、伝統を重んじ、なおかつ自由の大切さを訴える。
祖国がどんなにひどくても愛はある。国を出ようと持ち掛けられても主人公は動かない。国を愛しているからこそ、良い方向に変えるために戦うのだ。本当の愛国者は国の恥部に目を向ける勇気を持った人のことだ。作り手の祖国に対する愛をひしひしと感じる傑作だ。

牛津厚信

PRO

90年代アルジェリアの圧倒的状況と対峙するヒロインの姿に胸が張り裂けそうになる

牛津厚信さん | 2020年10月22日 | PCから投稿

この不思議な語感のタイトルは何を意味するのだろうか。そんな微かな疑問を胸にしながら、本作を観た。見始める前の私の印象としては、躍動感に満ちたガールズムービーといったところだったかもしれない。確かに、大学の女子寮を飛び出してナイトクラブへ向かう冒頭の描写には、何かが始まりそうなワクワクがほとばしる。だが、次の瞬間訪れるのは、検問での手厳しいやりとり。90年代のアルジェリアが置かれていた現実を突きつけられる場面だ。イスラム原理主義者による締め付けも至るところに。この物語には、かくも一人の少女がもたらす目覚ましい躍動感と、それを叩き潰そうとする圧力とが痛いほどスパークしている。「ファッションデザイナーになりたい!」という一途な思いが、単なる勇気や情熱を超えて、命がけの行動と化していく様に胸が張り裂けそうな思いがした。アルジェリア出身の監督と主演女優との共振関係が実を結んだ、力強い一作と言えよう。

映画レビュー

杉本穂高

杉本穂高さん PRO
2020年11月29日 | PCから投稿

伝統を否定せず作り変える

アルジェリアの90年代の内戦時代の物語だ。女性は自由な服装が許されない、主人公は伝統布のハイクを使ったドレスを作り、ファッションショーを開催しようと奔走する。ハイクを着ている主人公の祖母は、その昔フランスの植民地支配に抵抗するために戦った経験を語る。ハイクの下に銃を隠して男と並んで戦って、独立を勝ち取ったのだと誇らしげに語る。しかし、内戦時代には、テロリストがハイクの下に銃を隠して、ジャーナリストを殺している。主人公は、さらに銃を隠すことのできないドレスに仕立て直すことで、伝統を重んじ、なおかつ自由の大切さを訴える。
祖国がどんなにひどくても愛はある。国を出ようと持ち掛けられても主人公は動かない。国を愛しているからこそ、良い方向に変えるために戦うのだ。本当の愛国者は国の恥部に目を向ける勇気を持った人のことだ。作り手の祖国に対する愛をひしひしと感じる傑作だ。

牛津厚信

牛津厚信さん PRO
2020年10月22日 | PCから投稿

90年代アルジェリアの圧倒的状況と対峙するヒロインの姿に胸が張り裂けそうになる

この不思議な語感のタイトルは何を意味するのだろうか。そんな微かな疑問を胸にしながら、本作を観た。見始める前の私の印象としては、躍動感に満ちたガールズムービーといったところだったかもしれない。確かに、大学の女子寮を飛び出してナイトクラブへ向かう冒頭の描写には、何かが始まりそうなワクワクがほとばしる。だが、次の瞬間訪れるのは、検問での手厳しいやりとり。90年代のアルジェリアが置かれていた現実を突きつけられる場面だ。イスラム原理主義者による締め付けも至るところに。この物語には、かくも一人の少女がもたらす目覚ましい躍動感と、それを叩き潰そうとする圧力とが痛いほどスパークしている。「ファッションデザイナーになりたい!」という一途な思いが、単なる勇気や情熱を超えて、命がけの行動と化していく様に胸が張り裂けそうな思いがした。アルジェリア出身の監督と主演女優との共振関係が実を結んだ、力強い一作と言えよう。