ジェイコブス・ラダー(1990)
「ショーシャンクの空に」のティム・ロビンス主演のサスペンススリラー
旧約聖書の「ヤコブの梯子」のエピソードをモチーフに、夢と現実の間をさまよう男の不思議な体験を描く。
映画レビュー
PRO
陰影ある映像と音楽で、振り切った愛の形にこだわったライン監督には珍...
ホンダケイさん | 2021年8月7日 | PCから投稿
陰影ある映像と音楽で、振り切った愛の形にこだわったライン監督には珍しい、ホラーテイストのサスペンス。ジャンル的には86年「プラトーン」からのベトナム反戦ものの系列だが、陰謀論とゴア描写の組合せが本作の妙味。「ゴースト ニューヨークの幻」ルービンの脚本は、70年代の荒れた大都会で、幻覚に悩む帰還兵を描き、内面をねっちりと浮かび上がらせる。彼が何度も目撃する、痙攣するようにブルブルと頭部を震わせる異形人間の造形は、その後あらゆる映画の恐怖シーンにコピーされ続けている。
主演ティム・ロビンスは次々に襲ってくる悪夢に、195cmの長身ながら怯え、叫び、逃げ回るだけで、「ショーシャンクの空に」の希望を捨てない主人公とは正反対のキャラクター設定になっているのも面白い。
ヤコブの階段、異邦人、エックハルトなど、それっぽいキーワードは余り気にせず、メンタルに響くグロさと、幼いカルキン少年の愛らしさを楽しもう。