そこのみにて光輝く

   120分 | 2014年 | R15+

スクリーン2

芥川賞候補に幾度も名を連ねながら受賞がかなわず、41歳で自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志の唯一の長編小説を、綾野剛の主演で映画化。「オカンの嫁入り」の呉美保監督がメガホンをとり、愛を捨てた男と愛を諦めた女の出会いを描く。仕事を辞めブラブラと過ごしていた佐藤達夫は、粗暴だが人懐こい青年・大城拓児とパチンコ屋で知り合う。ついて来るよう案内された先には、取り残されたように存在する一軒のバラックで、寝たきりの父、その世話に追われる母、水商売で一家を支える千夏がいた。世間からさげすまれたその場所で、ひとり光輝く千夏に達夫はひかれていく。しかしそんな時、事件が起こり……。

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監督: 呉美保
原作: 佐藤泰志
脚本: 高田亮
出演: 綾野剛池脇千鶴菅田将暉高橋和也火野正平伊佐山ひろ子田村泰二郎
日本 / 日本語
(C)2014「そこのみにて光輝く」製作委員会

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映画レビュー

大塚史貴

PRO

佐藤泰志の心と同化してみせた奇跡的な作品

大塚史貴さん | 2022年3月30日 | PCから投稿

夭折の作家・佐藤泰志の原作を映画化する企画としては、「海炭市叙景」に続く2本目に製作されたのが「そこのみにて光輝く」。その後、「オーバー・フェンス」「きみの鳥はうたえる」「草の響き」と合計で5本の映画が存在するが、これが5本それぞれに佐藤の気持ちに寄り添った作風となっているため、メガホンをとった熊切和嘉、呉美保、山下敦弘、三宅唱、斎藤久志という監督陣には畏敬の念すら覚える。
その中で、比較するのも土台無理な話なのだが、「そこのみにて光輝く」という作品は、演出、カメラワーク、役者たちの息遣いなど含めて最も佐藤の心と同化してみせた作品ではなかっただろうかと、コロナ禍で全作品をつぶさに見直してみて改めて感じ入った。
綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉ら俳優陣の仕事ぶりも見事のひとこと。