映画レビュー
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「本当は弱いのにね…」 赤木春恵さんの名演技に笑って泣いて
大塚史貴さん | 2020年8月12日 | PCから投稿
7月に死去した森崎東監督の遺作となったのが、2013年に公開された今作だ。
森崎監督の故郷・長崎で撮影されたが、テーマとなったのが「認知症」。
岡野雄一の介護日誌コミックが原作となっているが、この原作がそもそも重いトーンではないこともあって、実に軽快に、それでいて非常に丁寧に作りこまれている。
そして何よりも、赤木春恵さんの名演技なくしては、成立しない。
長崎市内の現場で話を聞いたとき、「テレビドラマのイメージが強くて、きつい姑役ばかり。本当は弱いのにね…」と明かしてくれた時の、澄んだ眼差しが忘れられない。
決して誇張なく、笑わせられた後にはホロっとさせられて、誰と見ても楽しめる素晴らしい作品。