お嬢さん

   145分 | 2016年 | R18+

「別れる決心」のパク・チャヌク監督が手掛けたサスペンスドラマ

イギリスの人気ミステリー作家サラ・ウォーターズの小説を、物語の舞台を日本統治下の韓国に置きかえて映画化。

「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督が、イギリスの人気ミステリー作家サラ・ウォーターズの小説「荊の城」を原案に、物語の舞台を日本統治下の韓国に置きかえて描いたサスペンスドラマ。1930年代、日本統治下の韓国。スラム街で詐欺グループに育てられた少女スッキは、藤原伯爵と呼ばれる詐欺師から、ある計画を持ちかけられる。それは、莫大な財産の相続権を持つ令嬢・秀子を誘惑して結婚した後、精神病院に入れて財産を奪い取ろうというものだった。計画に加担することにしたスッキは、人里離れた土地に建つ屋敷で、日本文化に傾倒した支配的な叔父の上月と暮らす秀子のもとで、珠子という名のメイドとして働きはじめる。しかし、献身的なスッキに秀子が少しずつ心を開くようになり、スッキもまた、だます相手のはずの秀子に心惹かれていき……。秀子役を「泣く男」のキム・ミニが務め、スッキ役は無名の新人女優キム・テリをオーディションで抜擢。伯爵役は「チェイサー」のハ・ジョンウ、秀子の叔父・上月役は「最後まで行く」のチョ・ジヌンがそれぞれ演じた。

全文を読む

監督: パク・チャヌク
製作: パク・チャヌク シド・リム
製作総指揮: マイキー・リー
出演: キム・ミニキム・テリハ・ジョンウチョ・ジヌンキム・ヘスクムン・ソリ
英題:Ah-ga-ssi
韓国 / 韓国語、日本語
(C)2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED

全て見る

映画レビュー

高森 郁哉

PRO

韓国と日本の要素が交じり合い、奇天烈な世界が現出

高森 郁哉さん | 2017年3月14日 | PCから投稿

日本統治下の韓国が舞台ということで、まずハングルと日本語が混在。さらに日本的な官能文化と、韓流のエロティシズムのミクスチャー。これらの要素が渾然一体となり、独特の異世界感を醸し出す。

原作は「このミス」海外編1位のイギリスの小説だそうで。三部構成になっていて、それぞれの視点から描きなおす構成が面白く、緻密に練られている。

秀子が金持ちの日本人たちに官能小説を読み聞かせる場面は、たどたどしい日本語の効果もあって、エロいというよりユーモラス。仰々しいSMチックな道具が出てくる段に至っては、笑いがこみあげてきて抑えるのが大変だった。

エロティック・ミステリーは多々あれど、この作品は従来の型にはまらない、奇妙な新しさがある。