「戦争に行くとこうなる」ということを描いた 塚本晋也監督が語る最新作「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」
2026年8月15日 10:00

第83回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品される、塚本晋也監督の最新作「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」。このほど、塚本監督が本作に込めた思いを語るインタビュー映像と、タイ、ニューヨーク、日本、ベトナムの4カ国で行われた撮影の舞台裏を捉えたメイキング映像が公開された。
1989年の「鉄男」以来、世界中の映画ファンに衝撃と熱狂を与えてきた塚本監督。本作は、国際的評価を得た戦争三部作「野火」「斬、」「ほかげ」に続き、加害者の視点から戦争の恐ろしい現実と拭いきれない痛みを描いた戦争映画最終章だ。

原作は、ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソン氏が、自らの戦争体験と帰還後の葛藤を綴ったノンフィクション。ネルソン氏はその体験をもとに日本全国で1200回以上の講演を行い、「ほんとうの戦争」を語り続けてきた人物でもあり、その証言をもとに塚本監督が「戦争加害者の傷」というテーマに真正面から挑んだ。ニューヨーク、ベトナム、タイ、沖縄で撮影を敢行し、“戦争加害者の傷”というテーマに真っ向から取り組んだ、これまでの戦争映画の常識をくつがえす衝撃作となっている。

インタビュー映像の中で、塚本監督は、アレン・ネルソン氏が自らの加害体験を隠さず語り続けたことについて「普通だったら隠すと思うんです。でも、そのおかげで自分も知ることができた。戦争の恐ろしさが余計わかって、ますます戦争には近づいちゃいけないと思った」と語る。
©Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partnersさらに現在の世界情勢について「今は日本だけの心配じゃなくて、世界中がとっても怪しくなってきている」と率直な思いを吐露。その上で、本作を通して最も伝えたいこととして「戦争を作る人ではなく、戦争によって動かされる人の方に、『戦争に行くとこうなる』ということを、ものすごく実感を込めて感じてもらうことが大事」と力を込める。本作制作の動機が、過去を振り返るためではなく、「これから」を生きる私たちへの警鐘でもあると、監督自身の言葉から強く伝わってくる。
本作は、塚本監督にとってキャリア初となる4カ国ロケを敢行した意欲作。総勢約200人規模のスタッフ・キャストが参加する過去最大級の撮影となった。本映像では、インタビューとともに貴重なメイキング映像も収録されており、タイ、ニューヨーク、日本、ベトナムでの撮影現場では、塚本監督が自ら手持ちカメラを手に、ヘリコプターへ向かって駆け寄る姿や、戦場シーンの只中で俳優たちとともに走り回りながら撮影を行う姿など、塚本作品ならではの圧倒的な現場主義が映し出されている。
これまでと変わらず自らカメラをとり、俳優と同じ目線で現場に立ち続ける塚本監督。"戦争は遠い過去の出来事ではない"――そのメッセージを、言葉と映像で体感できる貴重な映像となっている。「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」は、9月11日よりkino cinéma 新宿ほか全国公開。
©Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners ©Allen Nelson/KODANSHA
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