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“最強の男”の痛み、日本へのリスペクト「スマッシング・マシーン」ドウェイン・ジョンソン&ベニー・サフディインタビュー

2026年5月16日 11:00

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第82回ベネチア国際映画祭監督賞受賞作「スマッシング・マシーン」が公開された。アメリカの元総合格闘家、マーク・ケアーをドウェイン・ジョンソンが演じ、2000年前後のPRIDE全盛期を舞台としたケアーの自伝的物語だ。

肉体を酷使する“強さ”で稼ぐ男たちが払わなければならない代償は大きく、“霊長類ヒト科最強の男”と称されたケアーは、常に大きなプレッシャーを背負い、満身創痍の肉体の痛みにも勝たなければならず、そして、恋人との生活の歯車もいつしか狂っていく――そんな男の生きざまをドウェイン・ジョンソンがハードな肉体改造と繊細な演技でリアルに体現。観るものの心を切なく震わせる良質な人間ドラマに仕上がっている。来日したベニー・サフディ監督と、同日にオンラインで参加したジョンソンに話を聞いた。

画像4(C)2025 Real Hero Rights LLC
――本作の制作は、プロデューサーでもあるドウェイン・ジョンソンがマーク・ケアーのドキュメンタリーを見たことがきっかけだそうですが、映画では“王者”としての栄光の瞬間だけではなく、その裏にあった己との戦い、私生活の困難も描いています。どのようなプロセスを経て、ケアー本人から映画化する許可を得たのでしょうか。

ベニー・サフディ:「この企画をドウェインから持ちかけられた時、まさに僕が今掘り下げたいテーマと合致しており、運命的なものを感じたのです。マーク・ケアー本人から許可を取る際の困難はほとんどなく、『あなたという人物をこのように描きたい』と理解してもらうために話をしました。それは、世間がドウェイン・ジョンソンという俳優に対して抱く先入観を打ち砕くような人物像です。ヘビー級の世界最高峰であり、MMAの黎明期を築いたレジェンドでありながら、実は非常に複雑で矛盾をはらんだ、決して完璧ではない一人の人間としての姿を描こうとしました。しかし彼はひとたび口を開けば本当に優しく、非常に落ち着いた方でした。ドウェインがこの役に惹かれたのも、彼自身が同じような葛藤を抱えていたからでしょうし、また心底共感できる人物でなければ、このように全エネルギーを注ぎ込んで演じられるものではないでしょう」

画像5(C)2025 Real Hero Rights LLC
――この物語は、強い男の脆さと痛みにも焦点を当てています。あなたはもともと格闘家のキャリアをお持ちですが、今回、俳優としてケアーに扮しての役作りやリングでの格闘シーンにおいて、どのような見せ方にこだわりましたか?
ドウェイン・ジョンソン:「できるだけリアルに演じることを心がけましたが、それは監督が定めた基準でもありました 。撮影前に監督から『スタントダブルを使わず、全部自分でやってほしい』と言われました。それはつまり“ボコボコにされる”ことも意味していましたが、私はすぐにOKしました。私はMMA、ボクシング、プロレスといったすべての格闘家をリスペクトしており、とことんリアルを追求することがこの作品全体の目標だったからです。格闘後のアドレナリンが消えた後の痛みについては、自身の経験から理解していましたが、役作りでは80年代にプロレスラーとして活躍した父や叔父の姿も参考にしました。当時のレスラーは休みなく毎日各地を回り、痛みを感じる暇もないほど過酷な環境にいました。子どもながらに彼らが痛みを管理する姿を見て感じた切なさを、今回の演技に活用したのです」
画像2撮影/岸豊
――「PRIDE」の全盛期を舞台としており、当時の日本も描かれています。撮影ではどのような工夫をされたのでしょうか?
ベニー・サフディ:「美術のジェームズ・チンランドの功績も大きいのですが、細部へのこだわりを徹底しました。格闘シーンの多くはバンクーバーで撮影しましたが、部屋の仕切りや生地の質感、ポカリスエットの配置に至るまで、観客が日本にいると感じられるように仕立て上げたのです。エキストラも、現地育ちの二世・三世ではなく、日本から移住して日本語を話し、身のこなしが日本的な方々を起用しました。それは、日本の皆さんが格闘技に対して持っている深いリスペクトや誇りを、私たちも正しく理解し、尊重したかったからです。一方で、偽ることができない日本の空気感を出すため、実際に日本でロケも行いました。タクシーのシーンや街中、市場、橋の上を歩くシーンなどは、すべて日本で撮影し、何よりリアリティにこだわったのです」
ドウェイン・ジョンソン:「私自身、かつてプロレスラーとして日本をツアーした経験があり、日本の文化や哲学、日本人が持つ誇りを深く尊敬しています。マーク・ケアーにとっても日本は特別な場所でした。撮影中、東京から離れた神社仏閣でお祈りをするシーンを撮りました。残念ながら本編の編集ではカットされてしまいましたが、そこで得た精神統一やメディテーション(瞑想)の習慣は、今でも毎朝続けているんですよ」
画像3撮影/岸豊

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