西川美和監督最新作「わたしの知らない子どもたち」主演は新人の小八重葵美&二階堂ふみ!
2026年5月12日 07:00

西川美和監督が、原案・脚本・監督を務めるオリジナル最新作映画「わたしの知らない子どもたち」が、本作で映画初主演を飾る新人の小八重葵美(こやえあみ)と二階堂ふみを主演に迎え、10月16日に公開されることが発表された。併せてティザービジュアルと特報(https://youtu.be/B1YdmA6RoOU)が披露された。
本作製作のきっかけは、西川監督が前作「すばらしき世界」の製作過程で出会った、戦後の日本に実在した“知られなかった子どもたち”の存在。前作の原案となった「身分帳」(佐木隆三)では、母に捨てられ、戦後の混乱の中で孤児として街を彷徨い、進駐軍の靴磨きや新聞売りで糊口をしのぎながら、やがて裏社会に取り込まれていく主人公の人生が描かれていた。広島県・広島市に生まれた西川監督にとって、「戦争」や「平和」は幼少期からの教育を通じてあまりに身近で、キャリアの初期にも、その重々しいテーマから逃れていたい気持ちもあったと振り返っていたが、前作で出会ってしまった戦後に生きていた子どもたちの過酷な現実は、監督の心を激しく揺さぶった。「子どもたちを取り巻いた戦後の裏社会の物語をいつかもう一度作り直したい」――その抗いようのない衝動に駆られ、本作の企画が動き出した。
西川監督は、カンヌ国際映画祭「監督週間」に正式出品され高く評価された「ゆれる」(06)、モントリオール世界映画祭「ワールド・コンペティション部門」へ正式出品された「ディア・ドクター」(09)、そしてシアトル国際映画祭で「女性監督作品観客賞」を受賞した前作「すばらしき世界」(21)など、華々しいキャリアの中で一貫して人間の業や複雑な心理を世界に問い続けてきた。
それら数々の名作において多面的な魅力を放つ“男性主人公”を描いてきたが、本作では、小八重と二階堂を主演に迎え、“女性主人公”の視点から物語を紡ぎ出す。世界が認めた気鋭の作家が挑むこの新たな切り口は、西川美和という才能のさらなる新境地を予感させる。なお、本作のタイトルにある“わたし”とは、原案者の西川監督自身であり、同時に二階堂が演じる主人公の教師・曽根の目線でもあり、これからこの物語と出会う私たち一人ひとりでもある。
戦後の日本、戦争で家族を失い、社会からこぼれ落ちた子どもたち。当時、街には進駐軍相手の慰安施設や路上売春が広がり、低年齢の少女たちまでもが性的搾取の危機に晒されていた。その現実から逃れるため、自らの性別を隠し、“少年として生きる”ことを選んだ少女がいた。本作は、“生まれながらのアウトロー”ではなく、どこにでもいたはずの一人の少女が、戦争によって変わっていく物語。主人公・琴子は、音楽家の父のもとで、普通の暮らしをしていた少女。しかし戦争と敗戦によってすべてを失い「生きるために、自分自身を手放す」という選択を迫られる。
一方、曽根は、かつて教師として軍国主義教育に加担していた側だったが、敗戦とともに、信じていたものも立場もすべてを失っていく。生徒を棄て、自らの生き方さえも手放しながら、それでもなお、今日という一日を生き延びていく。過去に背負ったものと、抗うことのできない現実のあいだで揺れながら、加害でも被害でも割り切れない、その両方を抱えたまま、生きるしかない過酷な運命を辿っていく。琴子は、少女を隠し“少年”としてどこへ向かうのか。曽根は、再び人として立ち上がれるのか。
主人公・琴子役に抜擢されたのは、約500人のオーディションの中から選ばれた、当時11歳・小学校5年生の小八重。そして女性教師・曽根役には、第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品された「遠い山なみの光」(25)、エミー賞をはじめ世界的な賞レースで高い評価を受けた「SHOGUN 将軍」などに出演し、国際的評価を確立している二階堂。その脇を固めるのは竹野内豊、櫻井海音、花瀬琴音。
さらに子どもたちのキャストには、徹底したリアリティを追求。戦争の記憶に触れる機会も少ない彼らに対し、計3回の歴史・生活に関する勉強会を実施しながら丁寧に制作されていった。単なる演技指導ではなく、当時の価値観や感情に対する理解を深めた上で撮影に臨んでいるという。
また本作には、国内外で受賞歴を持つトップクリエイターが集結。音楽を担うのは「国宝」(25)の原摩利彦。本作の音楽収録をイタリア・ローマで実施した原は「イタリアの指揮者や奏者が真剣に映画や音楽に向き合ってくださる驚きと演奏を通しての気づきがあった」と手応えを語った。また同席した西川監督も「音楽的な歴史の厚みを感じる演奏」と大絶賛。なお、原は本作で映画初出演も果たし、重要な音楽家役でカメオ出演している。
映像を担当するのは、「ゴジラ-1.0」(23)で第96回アカデミー賞視覚効果賞を受賞した白組チーム。日本のVFX技術が世界水準であることを証明した彼らが、本作では戦後直後の日本を再構築する。瓦礫の街、焼け跡の空気、人々の密度――単なる背景ではなく、時代そのものが登場人物として立ち上がる映像表現の実現を目指す。
そして、撮影の笠松則通、美術の三ツ松けいこ、衣裳デザインの小川久美子、ヘアメイクデザインの酒井夢月、録音の白取貢ら、これまで長年にわたり西川監督作品を支えてきたスタッフも再集結し、日本映画界の第一線で活躍するクリエイターたちが、これまで語られてこなかった戦後の物語に挑む。
ティザービジュアルの撮影を担当したのはアジアを中心に注目を集める写真家のレスリー・チャン。本作で初めて映画ポスターの写真を担当し、「少女」を棄て少年として生きると決意し見つめる琴子の意志と、生徒を棄て何かを失ってしまった曽根の空虚な姿を繊細に写し、“語られない感情”を一枚の写真に封じ込めている。
ビジュアル上部には、「12歳。私は『少女』を棄てました」「私は生徒を棄てました」というそれぞれに置かれた現実を表す言葉がひかれ、二人の人物が辿る途方もない選択と、その重みが浮かび上がる。デザインを担当したのは、吉良進太郎。
特報は、戦後の混乱の中、少女を棄て、少年として生きることを選んだ琴子と、かつて棄てた生徒を探し続ける女性教師・曽根の姿を映し出す。VFXでリアルに表現される1945年の焼け跡の街。行き交う人々。言葉にならないまま積み重なる時間。「12歳の彼女は、「少女」を棄てた。」というコピーが、「もし自分がその時代に生きていたら何を選んだのか」という問いを、今を生きる私たちに静かに投げかける映像に仕上がっている。
特報とキャスト、スタッフのコメント全文は以下のとおり。
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